【星降る夜のファルネーゼ】評価・レビュー 魔法あり脱衣ありの推理ADV

総評
シリアスとコメディが中途半端に混在したテキストが突っ込みどころ満載で、全体的に冴えない印象の作品です。
良かったところ
悪かったところ
茶番劇のような魔女裁判
中途半端なコメディ要素
粗雑さが目立つテキスト
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C-

成人向けゲームのレビュー記事になります。内容に直接的な18禁要素は含まれていませんが、18歳未満の方は公式サイトへの遷移などに注意してください。
ジャンル ファンタジー世界で魔女っ娘を助ける脱衣裁判推理ADV
ハード Windows
発売日 2017年9月29日
発売元 miti
開発元 miti

 ファンタジー世界で魔女っ娘を助ける脱衣裁判推理ADV「星降る夜のファルネーゼ」のレビュー記事です。

 「infinityシリーズ」や「ルートダブル」を手がけた中澤工氏がプロデューサーを務める本作。18禁のPCゲームで普段は手を出さない系統の作品ですが、スタッフや一風変わったジャンルに興味を持っての購入になります。魔法あり脱衣ありの裁判など、突っ込みどころ満載の世界観は刺激的だったものの、シリアスとコメディが中途半端に混在したテキストが茶番劇のようで、冴えない感じの作品でした。

ペナルティとして脱衣していく魔女裁判

 星の力が宿った魔女が存在する世界。占星弁護士である主人公は、殺人事件で魔女として疑いを掛けられた被告人を救うため裁判に挑みます。体に魔女の星があれば魔女確定という設定から、被告人に不利な証言や証拠に反論できなければ、衣服を脱いで身の潔白を証明しなければならない脱衣裁判です。

 主人公側も告訴して容疑者が複数人いる場合は、反論に失敗すると弁護側の被告人が脱衣。鋭い指摘で相手を追い詰めると、告訴相手が脱衣する展開に突入します。相手は全裸になっても魔女の星が見つからなければ無罪なのに対して、こちらの被告人は全裸になると負けを認めてゲームオーバーです。

 そもそも魔女の星があるかどうかで有罪無罪が決まるなら、わざわざ裁判で順番に脱衣する必要はありません。全裸になった相手の星を確認する行為は、告訴した相手も弁護している相手も全て主人公がチェックすることになるなど、突っ込みどころが満載の18禁ゲームらしい裁判が繰り広げられます。

まるで茶番を見ているかのような推理劇

 魔法という超常現象が存在する時点で、まともな推理やトリックで収まらないのは予想していましたが、余りにも荒唐無稽な展開の連続に付いていけない場面が多かったです。ストーリーとしてはシリアスな裁判のはずなのに、キャラクターの発言はコメディ要素が強く、茶番劇を見せられている気分でした。時間稼ぎに告訴したり、行き当たりばったりで告訴したりと、主人公の行動も支離滅裂です。

 真相に辿り着くまでの推理も、基本的には用意された筋書きをなぞっていくだけでした。裁判中の選択肢は常に2択となっており、ほとんどの選択は考えるまでもなく正解がわかる物ばかりで、ゲーム要素は乏しかったと感じます。手軽に全ての推理を自動で行うモードも用意されているのですが、淡々と読み進めるだけではテキストの粗雑さがより目立ってしまい、どちらにしても楽しめませんでした。

終盤に近づくほど形だけになる推理と裁判

 各話の内容は茶番劇ですが、全体のストーリーや伏線回収はギリギリ及第点でした。ただし、終盤になるにつれて推理や裁判が形だけの物になってしまい、ゲームの作りに一貫性が感じられません。最終話に至ってはまともな選択肢すらなく、読み進めるだけになっているため、盛り上がりに欠けています。裁判推理ADVなのに、どちらも行わないクライマックスに最後まで冴えない印象です。

さいごに

 私のレビューは酷評となりましたが、第1話が最後まで遊べる体験版が公開されているので、実際に遊んでみるのが確実かと思います。1話の最後が少し気になる幕引きにはなっているものの、基本的には体験版のノリとクオリティが続くため、製品版で化けるといったことはなかったです。大きな期待はしていなかったとはいえ、もう少しゲームとして楽しませてほしかったと、残念に思える作品でした。