【ファミリートレーナー | Switch】評価・レビュー 直感的には遊びにくい全身体験型アスレチックゲーム

総評
16種類のアトラクションを全身で楽しめる体感アクション。ゲームとしてはそつなく作り込まれているものの、ジョイコン操作がスムーズに行えない場面も多く、身体を動かす爽快感が欠けている作品でした。
良かったところ
16種類の豊富なアトラクション
悪かったところ
直感的には遊びにくい操作性
片足に負担が掛かる一部アトラクション
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C-
ジャンル 全身体験型アスレチックゲーム
ハード Nintendo Switch
発売日 2020年12月17日
発売元 バンダイナムコ
開発元 株式会社ハ・ン・ド
公式サイト リンク

 バンダイナムコがおくる全身体験型アスレチックゲーム「ファミリートレーナー」のレビュー記事です。

 レッグバンドでジョイコンを装着して、全身を使ったアトラクションに挑む本作。2008年に発売されたWii版「ファミリートレーナー」をベースとした、16種類のアトラクションに挑戦できます。「アスレチックで大冒険」「運動不足解消トレーニング」などの複数モードが用意されており、アトラクションによっては最大4段階の難易度や、ランキング要素も存在するため、基本はシンプルながらも遊び方は幅広く用意されていました。

 「専用マットコントローラー」で遊んでいたアトラクションを、ジョイコン操作に作り替えた影響で、相性の悪いアトラクションがあったのは残念でした。直感的に遊ぶのが難しく、ジョイコンの動きに気を遣う場面が多いため、気持ちよく身体を動かせません。片足ばかりに負担が掛かるアトラクションもあって、高難易度に挑戦すると、身体を痛めそうな感触もありました。目新しさで短期的に楽しむならともかく、長期的に遊びたいとは思わない作品です。

Wii版から継承された16種類のアトラクション

 本作には、2008年に発売のWii版「ファミリートレーナー」で遊べた、16種類のアトラクションが実装されています。なるべく早いタイムでゴールを目指す「ハードル走」「スピードローラー」や、制限時間内で多くのスコアを稼ぐ「トリックボーダー」「モグラパニック」など、内容は様々です。「丸太かわし」「なわとび」といった、失敗するまで無限に遊べるアトラクションも存在します。全て1人・2人プレイの両方に対応しており、アトラクションによっては最大4段階のレベル設定もあって、遊びの種類は豊富でした。

 エンドレスで続く物を除けば、1回のアトラクションに掛かる時間は1~2分とお手軽です。運動量に関しては、手元でジョイコンを傾けるだけの手軽な物から、その場で全力足踏みを求められる物まで、かなり幅広い感触でした。真剣にプレイすると、床への影響も大きいため、マンション・アパートの2階以上に住んでいる場合は注意が必要です。オンライン対応ではないですが、アトラクション・レベル別のゲーム内ランキングも用意されているので、家族や友達と競い合ったり、自分自身のハイスコアを目指したりして楽しめます。

ジョイコン操作との相性が悪い一部アトラクション

 「専用マットコントローラー」で遊んでいたアトラクションを、ジョイコンのジャイロセンサー操作に作り替えた影響で、直感的なプレイが損なわれていたのは、とても残念でした。説明を読んだだけでは理解が難しいアトラクションや、慣れるまではスムーズに操作できないアトラクションも多いです。初めての人と一緒に遊ぶ場合や、年齢の低い子供が遊ぶ場合には、遊び方をしっかりサポートする必要があります。

 全ての操作をジャイロセンサーで行うため、思うように動かせなくて、イライラする場面も少なくはありません。特に、ジャンプ系のアクションは、飛び方に注意しないと「身体がジャンプしているのに、キャラクターは反応しない」状況が発生しました。「なわとび」「丸太かわし」といったアトラクションは、1ミスでゲームオーバーになる場合もあるので、タイミングだけでなく、ジョイコンがうまく反応するようジャンプするのにも気を遣います。

 ジョイコンを付けているのは左足だけのため、片足だけに負担の掛かるアトラクションも目立ちました。「ハードル走」「丸太ジャンプ」など、「走る」と「ジャンプ」が混在する場合、ジャンプは全て左足を上げて、右足で踏み切る形になります。逆に、「モグラパニック」では、ひたすら左足で踏む動作の繰り返しです。コースや難易度によっては、上記のアクションを長時間・高頻度で行うため、フロアマットや室内シューズがなければ、身体を痛めてしまいそうな感触でした。

コース攻略を目指す「アスレチックで大冒険」

 メインモードとなる「アスレチックで大冒険」では、「初級」「中級」「上級」「マスター」の難易度に分けられた、各種コースを攻略していきます。アトラクションごとに設定されているタイムやスコアを達成すると、次のアトラクションへ進むことができて、全てのアトラクションを達成でコースクリアです。各難易度の全コースを制覇すると、新しいコース・難易度の解放や、クリアの証を獲得できます。

 メインモードとされていますが、ストーリー的な物はありません。自分のアバターを作成して挑戦できるくらいです。「上級」制覇でエンディングが流れるものの、ボリュームは1時間未満とあっさりでした。ただし、エンディング後に解放される「マスター」難易度は、各アトラクションで要求されるスコアやタイムがかなり高く難関です。クリアするためには、全力での運動や1ミスも許されないプレイが必要になるため、手応え抜群でした。

 コース別でトータルスコアが記録される仕組みも存在しており、アトラクション別ランキング同様に、ハイスコアを目指して繰り返し挑戦する面白さが用意されています。スコアに応じて「プロ級」「超人」「仙人」といった称号も表示されるため、モチベーションにつながりました。アトラクションを自由に組み合わせて、自分だけのオリジナルコースを作れる要素もあって、基本はシンプルながらも遊び方は幅広く用意されています。

1日5分で手軽に遊べる「運動不足解消トレーニング」

 「運動不足解消トレーニング」では、3~10分のトレーニングメニューが10種類用意されたモードです。簡単なアトラクションで軽く身体を動かす「食後のゆっくりトレーニング!」、身体を動かし続けるアトラクションが続く「持久力トレーニング」など、各コースは方針に沿ったアトラクションで構成されています。10分間ランニングが続く「マラソントレーニング!」や、ダッシュ系のアトラクションが連続するトレーニングといった、かなりハードな物も存在しました。

 トレーニングと名前は付いているものの、行うことはアトラクションの連続なので、バランス良く身体が鍛えられる等はありません。何となく身体を動かして、運動不足を避けられる程度の内容です。トレーニング時間が決まっている影響で、ゴールを目指す系のアトラクションは、時間いっぱいまで先へ進めるエンドレス形式。エンドレス系のアクションは、制限時間内は何度でも失敗できる代わりに、時間が来たら終了する仕様に変わっています。

 毎日継続するモチベーションとして、「ファミトレポイント」の獲得と、スタンプが用意されています。どちらも獲得することで何か行えるわけではないので、頑張りが視覚化されているイメージでした。1日で全てのトレーニングを制覇すると、金のスタンプが押されるのですが、制覇に1時間ほど掛かるのでハードルは高いです。前述したように、ジョイコン操作と相性の悪いアトラクションもあって、毎日全てを遊びたいとは思いませんでした。

さいごに

 基本的にはWii版「ファミリートレーナー」を継承しているため、そつなく作られているものの、ジョイコンのジャイロセンサー操作が致命的でした。操作機器が変わるなら、それに合わせてアトラクションの内容も作り直した方が良かったのではないかと感じます。当初は2週間ほど継続的に遊んでからレビューを書こうと考えていたものの、初日の時点でやる気がそがれてしまい、一通り遊んだ3日目でプレイを終えました。

 唯一無二の体感アクションならともかく、Nintendo Switchには本作以外にもジョイコンを使って身体を動かせるタイトルが多いので、余りおすすめはできません。他のタイトルを遊び尽くしてしまい、新しい体験を求めたいなら買うのも一興という作品でした。