ジャンル | 戦略アクションRPG |
---|---|
ハード | PlayStation 4 Nintendo Switch |
発売日 | 2018年1月31日 |
発売元 | アークシステムワークス |
開発元 | YYT Games |
公式サイト | リンク |
プレイ時間 | 1周目クリアまで8時間 |
リアルタイムバトルが目を引く2D横スクロール型アクションRPG「Fallen Legion(フォールンレギオン) ‐救国の皇女- / -反逆の炎-」のレビュー記事です。
1つの物語を2人の主人公の視点から楽しめる、クロスシナリオ形式の本作。シナリオ以外にも、同時に4キャラクターを操作するバトルシステムや、膨大な選択肢によって微細に変化するストーリーといった、豊富なコンテンツに注目していました。
しかし、プレイしてみた感触はどれも今ひとつで、分かりにくさや内容の薄さが目立ちます。クロスシナリオも面白さとして活かせていないため、コンテンツの量ばかりで、まとまりのない印象が強い作品でした。
目次で流し読み
支離滅裂なダイジェストストーリー
崩壊寸前の帝国を舞台に、2人の主人公によって描かれるストーリーは、驚愕のスピード展開です。シーンが変わるごとに、幾つかイベントを飛ばしているのではないかと疑うほどでした。登場キャラクターたちの言動も支離滅裂なため、プレイヤーは激動する状況に付いていけません。
登場するキャラクターや組織が多いにも関わらず、ほとんど説明がないのも印象的です。一部の用語には簡単な解説が用意されているものの、世界観を理解するには全く足りません。いきなり説明もなく登場して、よく分からないまま退場していくキャラクターが大半を占めていました。
クロスシナリオなのに絡まない2人の主人公
「救国の皇女」と「反逆の炎」、2つの作品に分けて販売されており、クロスシナリオを謳っている本作。しかし、プロローグとラスボス直前を除いて、主人公たちが出会うイベントは数回しかありません。いずれも短いシーンで、お互いに意識はしているけど直接は関わらない展開続きでした。
両方の作品を遊んでみても、2つのストーリーが連動していると感じる箇所は少なかったです。主人公たちが出会うシーン以外の大部分は独立しています。クロスシナリオというよりも、平行した2本のストーリーを走らせているだけで、私が想像していた内容とは大きく異なっていました。
影響を認識するのが難しい《王の選択》
クロスシナリオと並んで特徴的なのが、ステージ攻略中に発生する「王の選択」です。帝国内で発生している問題に対して、主人公が決断を行うことで、ゲーム内に様々な変化が起こります。全部で100種類以上の選択が用意されているため、プレイするたびに違った展開が楽しめるシステムです。
選択が豊富に用意されている点は良かったのですが、1つ1つの影響が分かりにくいのは残念でした。1周目のプレイでは、選択の影響によって何が変化したのかほとんど認識できません。複数周回して差分を見ることによって、初めて実感できる変化が多かったです。
遊びやすいリアルタイムバトルと単調になりがちなステージ構成
主人公と霊戦士を操作して戦うステージは、リアルタイムで進行するコマンドバトル形式です。霊戦士がAPを消費して攻撃を行い、「リンクアタック(連係攻撃)」や「デスブロウ(必殺技)」といったバトルシステムを発動。攻撃によってマナが貯まり、主人公が魔法でサポートするサイクルになっています。1人で4キャラクターを同時操作する気持ちよさと、操作に煩わしさを感じない点は高評価でした。
しかし、ステージに登場する敵の種類が乏しく、操作に慣れると飽きてしまうのも早かったです。大型のボス戦を除いて、同じコマンドによるデスブロウ発動とAP回復を繰り返すだけで、特に苦戦することはありません。約50ステージのうち、ボス戦は数えるほどしかないため、もう少しステージ構成にメリハリが用意されていればうれしかったです。
プレイヤーの関与できる余地が少ない育成要素
本作には、主人公が装備することによって強化が発生する「輝石」と、霊戦士たちが成長する、2つの育成要素が用意されています。どちらも戦闘に大きな影響を与える要素なのですが、ランダム性が強すぎたり、仕様が不透明だったりと、プレイヤーの関与できる余地はほとんどなかったです。
「輝石」の性能は完全ランダムとなっており、トレハン要素を兼ねています。しかし、1ステージで取得できる個数は1個固定で、取得後の「輝石」を再利用できるシステムはありません。終盤でもゴミのような性能の輝石がドロップすることもあって、組合せや工夫よりも、プレイヤーの運次第で強化度合いが大きく左右されました。
霊戦士も、新しいデスブロウの獲得や霊戦士自身の進化といった成長が発生。進化先は2種類用意されており、「王の選択」によって決定します。ストーリー同様、どの選択が進化に影響したのか、とても分かりにくいです。純粋な性能強化ではなく、タンク役の体力が減少して攻撃力が強化されるといったスタイルが大きく変化する進化もあるため、不自由な印象が強く残りました。
分割した作品を更に複数周回させるゲーム構成
両作品ともに、1周目ではエピローグが解放されない仕様になっており、メインストーリーを全て閲覧するには複数周回が必要です。2周目以降は、霊戦士の成長を引き継いだ「ニューゲーム+」でプレイになるため、サクサクと進めるのは良いのですが、ステージに変化がないため、単調なプレイは変わりません。
セーブデータの連動もないので、片方をクリアしても、もう片方は1からスタートになるのも面倒です。ストーリーは別物ですが、戦闘に関しては主人公の使える魔法以外に違いがないため、ほとんど同じプレイを4周する必要があります。しかも、エピローグのボリュームは1分程度と短く、わざわざ両作品を2周回させる意図が理解できませんでした。
さいごに
様々な要素が詰め込まれているものの、どれも中途半端で活かせていない作品でした。部分的には良いところも多く、飛び抜けて悪い箇所はなかったため、惜しいという印象が強いです。1つの作品として、もう少しコンパクトにまとめられていれば、また違った評価になったのかもしれません。