ジャンル | ファンタジーアクションRPG |
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ハード | PlayStation 4 PlayStation Vita |
発売日 | 2015年12月17日 |
発売元 | スパイクチュンソフト |
開発元 | トライエース |
公式サイト | リンク |
プレイ時間 | 1周目クリアまで24時間 全エンディングクリアまで35時間 |
販売:スパイクチュンソフト / 開発:トライエースがおくるファンタジーアクションRPG「イグジストアーカイヴ」のレビュー記事です。
プレイヤーに面倒な操作を強要するインターフェースを筆頭に、基本システムの作り込みで残念な部分が目立った本作。しかし、フルボイスで楽しませてくれたストーリーや、遊び続けるほど面白くなっていく戦闘・育成システムは、満足の一言です。
おすすめできるポイントを書き始めると、段落が幾らあっても足りないのですが、同じくらい悪い所もあって、注力されている部分とそれ以外の落差が激しい作品でした。
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アクション要素を取り入れたアクティブチェインバトル
キャラクターごとに攻撃スキルを設定して、ボタンだけで手軽にコンボをつなげるバトルは、シンプルながらも奥深いシステムに仕上がっていました。パーティーメンバーやスキルの種類が少ない序盤は地味な戦闘が続くものの、中盤を超えた辺りから一気に評価が変わります。
コンボをつなげるタイミングやジャストガードなど、アクション要素を適度に取り入れている点も好印象です。同レベル帯の相手と緊張感のある戦闘を楽しめることはもちろん。格上の相手に対しても、スキルの構成やプレイヤースキル次第で攻略の可能性を見いだすことができました。
遊び続けるほど強くなる際限のない育成要素
基本は、レベルアップで得たポイントを割り振ってクラスやスキルを強化する形式になっています。10人以上のキャラクターが登場することから、これだけでもパーティーの組合せは豊富です。それに加えて、他キャラクターのスキルを覚えられる「ラーニング」が育成の幅を大きく広げていました。
発動させるには一定以上の感情度が必要となるため、手軽とは言えませんが、1キャラクターに全てのスキルを覚えさせることも可能です。感情度やスキルは周回しても引き継がれるので、長く遊ぶほどラーニングが頻繁に発生して、パーティーメイクの選択肢がどんどん増えていきます。
最終的には各キャラクターの特徴が薄れていくように思えますが、平均化してしまわないよう、特定の仲間同士でしか覚えられないユニークスキルも登場します。組合せによって特殊な名称や効果が付けられているため、ストーリー上の関係を意識しながらメンバーを選ぶ面白さも用意されていました。
頻発する怪しい挙動と警戒してしまうエラー落ち
パッチによって改善されたものの、Ver1.01になっても「エラー落ち」と「無限ローディング」を2回ずつ経験しました。オートセーブ機能があるので、大きな巻き戻りは防げたのですが、長大なステージの攻略途中や、経験値稼ぎで籠もっている最中に発生したのは、精神的なダメージが大きかったです。
エラーが発生しなくても、戦闘中やステージ移動時を中心に不安定な挙動が頻発します。敵のターンが正常に終了せず、タイムオーバーでリセットしているような動きも多発。手痛い経験をしたあとでは、怪しい雰囲気が漂うたびに警戒してしまい、プレイに集中できない場面が多々ありました。
工夫されていないアイテム関連のインターフェース
アイテム売却の際、装備品を1つずつしか選択できないのは、かなり面倒な作業でした。スタックできない装備品と、スタックされる消耗品が混在している影響です。一括で売却するような機能はないため、プレイヤーの手間ばかり掛かってしまう仕様になっていました。
ハックアンドスラッシュのようにアイテムが大量ドロップするので、2~3ステージもクリアすれば所持品はいっぱいです。ソート機能も微妙なため、装備品を管理するには定期的に売却を繰り返さなければなりません。使い勝手の良い工夫が難しいなら、せめて全部売却機能くらい付けてほしかったです。
プレイヤーの意思によって大きく変わっていくストーリー
選択によってストーリーが分岐するマルチエンディングとなっており、同じエンディングでも複数のパターンが用意されています。大小様々なフラグに対して、どのような行動を取っていくべきか、先の読めない展開続きで悩ましいシナリオ構成でした。
中にはバッドエンドルートも存在して、シナリオ・システム両方の面から、ハードな結末がプレイヤーを待ち受けています。しっかりと予備のセーブデータを取っておかなければ、前述したオートセーブと組み合わさって、取り返しの付かない状況に陥るかもしれません。
メインストーリー以外にも、キャラクターの感情度を条件に様々なサブイベントが発生。1つ1つは短いですが、数は多いため、全てをチェックするには膨大な時間が必要になります。ユーモアにあふれたクリア後要素やオンライン要素まで含めると、かなり長く遊べる大ボリューム作品でした。
全てのイベントがフルボイスで展開される作り込み
どれだけ小さいイベントでもボイスが付いていたのは、地味にすごいと感じました。コミカルな場面も多いのですが、テキストだけでは寒いネタも、声優さんの演技付きだと笑わされてしまいます。同じボリュームでも、ボイスの有無で受け取る印象が大きく変わるんだと実感です。
特に、子安武人さんが演じる「ヤマトガ」は声だけの登場なので、フルボイスの恩恵を最大限に受けていたと思います。作中では頻繁に喋ってインパクトもつよいキャラクターだったため、クリア後に思い返してみると、良い所を全部持っていったと言っても過言ではありません。
さいごに
まだ書き切れていない良かった部分や、ネガティブの項目に記載している細かい不満を特筆していくと、レビューのネタに終わりが見えません。ここまで良い要素と悪い要素が混ざっている作品も珍しいです。アンバランスだとは感じるのですが、総合的な評価としては良作寄りのRPGでした。