【デュエルプリンセス】評価・レビュー お姫様同士の熱い戦いを描いたローグライトタワーディフェンス

総評
10人のお姫様による紋章争奪戦を描いたローグライトタワーディフェンス。ゲーム部分は薄味であるものの、お姫様たちの魅力が際立つ作品です。とても充実したお仕置きミニゲームは必見。
良かったところ
魅力的な10人のお姫様
こだわりを感じるお仕置きミニゲーム
至れり尽くせりのアルバム機能
悪かったところ
手応えのないタワーディフェンス
バランスの悪いデッキ構築要素
3
B
ジャンル ローグライトタワーディフェンス
ハード Nintendo Switch
発売日 2022年1月13日
発売元 qureate
開発元 qureate
公式サイト リンク
プレイ時間 ストーリークリアまで9時間

 qureateがおくるローグライトタワーディフェンス「デュエルプリンセス」のレビュー記事です。

 10人のお姫様による、紋章争奪戦を描いた本作。もし選んだお姫様が主人公だったらというパラレルストーリー形式で、短いながらも10本の物語が楽しめます。キャラクターごとにカットインやイベントスチルが複数用意されており、特にお仕置きミニゲームはこだわりを感じる充実ぶりでした。

 戦闘は横スクロールタイプのタワーディフェンスで、ローグライト形式のデッキ構築と組み合わせたゲームデザインです。良くも悪くも難度は低く、ゲームバランスも悪いことから、手応えはほとんどありません。やりこみ要素などもないため、ゲーム性に過度な期待は厳禁です。

10人のお姫様が世界を救うパラレルストーリー

 3人の魔王を倒した10人のお姫様が、大魔王を倒すために立ち上がるストーリーは、紋章を賭けて争う熱い戦いの物語です。10人で大きな物語を構成しているのではなく、それぞれが主人公として大魔王を討伐する、10本のパラレルストーリー形式となっています。

 お姫様ごとのシナリオ構成は似通っており、1人あたりのボリュームは戦闘を併せても1時間弱と短めです。基本的には、3人のお姫様を倒すとゲームクリアで、そのうちの1人はカップリング対象となっています。好みのお姫様がいて、その娘を存分に味わいたいという場合は、少し物足りないかもしれません。

 様々な属性を備えたお姫様たちは、キャラクターが立っており、短いながらも読み物として楽しめる内容です。立ち絵に加えて、戦闘中のカットインが3種類。お仕置きイベントやエンディングのイベントスチルも個別に用意されているため、とても目の保養になるゲームでした。

プリズンプリンセスの続編となる世界観

 世界観は2020年に発売された「プリズンプリンセス」の続編となっており、魔王を倒した後の世界が描かれています。とはいえ、他の大陸でも同じように魔王が倒されたというプロローグから始まるため、「プリズンプリンセス」を未プレイでも全く問題はありません。

 前作の主人公である勇者は、大魔王に呪いを掛けられたということで不在ですが、お姫様たちはプレイアブルキャラクターとして登場します。前作に引き続き、2人の尊いイチャイチャを堪能できました。

お姫様を気持ちよくするお仕置きミニゲーム

 戦いの勝利後、紋章を受け取る名目で行われるお仕置きは、倒したお姫様を気持ちよくさせるミニゲームです。様々なアイテムを駆使して刺激を与え、体温と心拍数を上げて、紋章を浮かび上がらせます。清らかな気持ちで行う神聖な儀式なので、やましいことは何もありません。

 アイテムごとに反応の良い部分が異なるため、プレイヤーはカーソルを這わせて、ゲージが大きく伸びるポイントを探して刺激します。お仕置きをスキップして紋章を受け取ることも可能ですが、刺激を与えてお姫様をリラックスさせるほど、プレイヤーは多くの経験値を得られる仕組みです。

 使用できるアイテムが増えると、お姫様の状況が変化する場合もあります。もちろん、好きなだけ触れるフリータッチ機能も完備。さらに、1度行ったお仕置きはアルバム機能から再プレイが可能です。フリータッチ・通常に加えて、カップリングキャラが行う特別版も分けられており、至れり尽くせりでした。

ユニット同士がぶつかり合うタワーディフェンスバトル

 お姫様たちの戦いは、横スクロールタイプのタワーディフェンス形式で行われます。時間経過によって増加するマナをコストにユニットを召喚して、相手の拠点を破壊すれば勝利です。お姫様ごとにスキルや専用ユニットが用意されており、敵味方の組合せによって戦い方は多彩に変化します。相手の拠点を破壊すると、何故か衣装も破けるご褒美付きです。

 ユニットには「近距離」「中距離」「遠距離」の3タイプが存在して、三すくみの関係が築かれています。さらに、高コスト・レアリティのユニットほど、ステータスや特殊能力が強力です。手札に同じユニットが複数枚あれば、合成で強化する「オーバーライド」も可能で、マナや戦況を見ながら臨機応変に立ち回ります。

 考えることが多いように思えますが、良くも悪くも難度は低めです。よほど偏ったデッキ構成にしない限り、戦闘に負ける方が難しいくらいでした。ストーリーやお仕置きが目当てで、ゲーム性は不要という方なら良いですが、戦闘に手応えを求めると肩透かしを食らいます。ストーリークリア後のやりこみ要素などもありません。

プレイするたびに変化するデッキ構築要素

 デッキ構築は、ランダムに排出されるユニットから1枚を選んで作り込んでいく形式です。プレイするたびに構築できるデッキが変化するため、ローグライト要素を含んでいます。ステージの1マスごとに選べる作戦の内容もランダムなので、選択に悩んでしまう場面も多いです。

 ユニットは全部で50種類と豊富です。コモンからレジェンドまで、4段階のレアリティが設定されています。最初は10種類しか登場しませんが、お姫様のストーリーをクリアすると、それぞれの専用ユニットが他のお姫様でも解放される仕組みです。クリアしたお姫様が増えるほど、デッキ構築の幅は広がっていきます。

 ユニットを収集してデッキを強化するゲームに見えて、実はユニットが少ないほど安定するゲームバランスは残念な部分でした。召喚後のユニットカードはデッキに戻る仕様から、デッキを手札の枚数以下にすると、ドローを待つ必要なく強力なユニットが常に召喚可能です。終盤は、コスパの良いカードだけで構築して、召喚ボタンの連打でクリアできてしまうゲームでした。

さいごに

 タワーディフェンス部分が全体的に薄味で、繰り返しのプレイを退屈に感じた点が評価の足を引っ張るゲームでした。お姫様の魅力やお仕置き要素はすばらしいため、戦闘はオマケと割り切れるならおすすめできる作品です。