ジャンル | 脱出(トラップ)アドベンチャー |
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ハード | PlayStation 4 PlayStation Vita |
発売日 | 2018年4月26日 |
発売元 | El Dia |
開発元 | RED FLAGSHIP |
公式サイト | リンク |
プレイ時間 | 1周目クリアまで4-5時間 |
1998年にセガサターンで発売された名作アドベンチャーのリマスター版「慟哭そして…」のレビュー記事です。
不気味な洋館からの脱出ゲームと恋愛要素をうまく組み合わせた本作。様々な猟奇的事件やイベントを通じて、ヒロインたちと親密になりながら脱出を目指すサスペンスストーリーです。ちょっとHなサービスカットから凄惨な描写まで、幅広い体験が印象に強く残る作品でした。
今回のリマスター版では、高解像度化以外にも、演出強化やゲームシステムの改善など、様々な部分に手が加えられています。未使用イベントスチルと加筆による新規イベントも用意されているため、未プレイの人だけでなく、昔に遊んだことのある人にもおすすめできるリマスター版です。
目次で流し読み
不気味な洋館からの脱出を目指すストーリー
乗っていたバスが事故を起こし気を失った主人公が、館の一室で目を覚ますところから始まるストーリーは、不気味な洋館からの脱出を目的に進行していきます。同じように閉じ込められた9人の男女と探索を進めるうちに、様々な猟奇的事件に遭遇するサスペンスストーリーです。
洋館の中には、主人公たちに危害を加えようとする殺人犯が潜んでおり、恐ろしいトラップが幾つも仕掛けられています。危険を回避できなければ、ヒロインであっても容赦なく殺されてしまう展開がプレイヤーの緊張感を高めていました。しかも、ゲームオーバーではなく死亡後もストーリーは続く仕様です。
高い難易度の謎解きとトラップ解除
洋館からの脱出は、クリック型アドベンチャー形式の探索モードと、クォータービュー形式の移動モードの2つで構成されています。移動モードは基本的に制限がなく、ストーリーが進むにつれて移動可能な範囲が広がっていくため、自由度が高いことに比例して難易度もかなり高いです。
探索モードでは、カーソルを動かして調べることによって、情報やアイテムを入手。特定のポイントにアイテムを使用するなど、様々な行動を取ることが可能です。選択できるポイントの指定が少しシビアだったり、数十種類のアイテムが存在したりと、慎重な探索が求められました。
登場人物たちを死に至らしめる、トラップの回避も難関です。遭遇した時点で手持ちのアイテムが足りていなければ解除不能。解き方を間違えても失敗。トラップによっては、無駄な行動を繰り返すと時間経過によって死亡してしまうパターンもあるので、常に油断できません。
豊富なエンディングと複雑なフラグ管理
本作はマルチエンディング形式となっており、各ヒロインに2~3種類のエンディングが用意されています。総数は10種類以上と豊富です。1人のエンディングで全ての謎が解けるわけではなく、周回して断片的な情報を集めることで真相が明らかになっていく、周回前提の構造になります。
分岐のフラグ管理は、謎解き同様に高難易度です。単純に親密になれば良いわけではなく、ギミックやトラップの解き方によってもストーリーが分岐する複雑な仕様になっています。グッドエンドに必須のイベントも存在するため、ヒロインによっては、初プレイでたどり着くのは困難です。
快適なゲームシステムとヒントモード
セガサターン版のプレイ経験がある私でも、1周目は4-5時間掛かったボリュームですが、2周目以降は自動既読スキップで高速周回が可能です。周回を重ねるごとに既読テキストが増えていくため、どんどん早くなります。屋内移動の速度調整なども用意されているので、周回が快適です。
他にも、ゴシック体と明朝体から選べるフォント設定。オートクイックセーブ。各種確認項目のON/OFF。クォータービューの方向キー調整など、隙のない環境設定が用意されています。セーブ数も最大100個でデータコピー機能も備わっているため、エンディング回収に役立ちました。
高難易度の救済措置として用意されている「ヒントモード」も優秀です。主人公が抱えている問題についてのヒントが表示されるだけでなく、分岐に関する場面では、ヒロインごとにヒントを選べます。新しいヒントが追加されるとポップアップで教えてくれる点もすばらしいです。
リマスター版の追加イベントは別リスト扱い
最後にプレイしたのが20年近く前だったので、追加イベントを見分けられるのか不安でしたが、クリア後のおまけに「追加イベントリスト」が用意されていたのはうれしかったです。まるで私のために用意されているかのような配慮に、購入者をしっかり意識して作られていることがうかがえました。
追加イベントには、発生させるためのヒントも記載されているので、追加イベントを優先的に確認したい人も安心です。
ちょっとHなサービスカットも満載
セガサターン版が「18歳以上推奨」だったこともあって、下着や半裸など、家庭用ゲームとしては際どいシーンが多いです。暗い雰囲気や凄惨な出来事の合間にサービスカットが差しこまれているため、雰囲気のギャップから、より魅力的に感じるシーンばかりでした。
さいごに
原作の雰囲気を損なわずに大きくクオリティアップしており、文句なしのリマスター版でした。私にとって思い出深い作品だったため、20年越しに再プレイすることができて満足の一言です。これを機に新規プレイヤーも増えてほしいという思いから、強くおすすめしたい作品でした。