ジャンル | ハルウラレ系RPG |
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ハード | Windows |
発売日 | 2020年11月27日 |
発売元 | アリスソフト |
開発元 | アリスソフト |
公式サイト | リンク |
プレイ時間 | ストーリークリアまで20時間 |
アリスソフトがおくるハルウラレ系RPG「ドーナドーナ いっしょにわるいことをしよう」のレビュー記事です。
「ヒトカリ」で女の子をドナドナして、「ハルウリ」でお金を稼ぐ、18禁ゲームでしか制作できないユニークなコンセプトが特徴の本作。女の子のステータスを調整しながら、コキャクからお金を搾り取っていくゲームシステムは、酷い題材ながらも、うまく作り込まれていました。メインキャラクターに加えて、「ハルウリ」専用のユニークヒロインも大勢登場。イベントスチルも差分抜きで100枚以上と豊富なので、様々なシチュエーションを楽しめます。
前衛・後衛の交代を駆使して戦う「ヒトカリ」のバトルは、戦略性があって楽しめた反面、操作の手間が引っかかり、プレイに熱中しきれなかったのは残念でした。中盤以降は「ハルウリ」の存在が形骸化したり、メンバーとの交遊が頻繁に行えなくなったりと、難点も目立ちます。イベントスチルの多さやコンセプトから”18禁”ゲームとしては高評価ながらも、純粋にゲームとしてみると少し惜しい作品でした。
目次で流し読み
キャラクター同士の掛け合いが魅力のアッパー系ストーリー
企業に支配された街で、企業に対抗するクランとして、様々な「わるいこと」を行うストーリー。ところどころに重い話を交えつつも、基本的には軽いノリで進行するため、個性豊かなキャラクター同士の掛け合いが好感触でした。ビビッドカラー中心の配色や、アップテンポなBGMも、作品の雰囲気にとてもマッチしています。良くも悪くも世界観が大雑把で、設定が省略されすぎて疑問を覚える部分も多く、細かいことを考えずに流れを楽しむ系のストーリーです。
メインストーリーだけでなく、各キャラクターの個別ストーリーも数多く用意されており、読み応えは抜群です。登場初期は興味の薄かったキャラクターでも、クリアする頃にはだいたいお気に入りでした。イベントスチルも差分抜きで100枚以上と豊富で、様々なシチュエーションを楽しめた点もうれしかったです。
女の子やアイテムをバトルで強奪していく「ヒトカリ」
ゲーム進行のメインとなる「ヒトカリ」は、街の各所を襲撃して、アイテムの強奪や、女の子をドナドナするパートです。ルート分岐するステージを進み、邪魔する市警や他クランの構成員を倒しながら探索していきます。ルートは1コマ先までしか見えないので、分岐でどちらに進むかは、勘任せのノリで突き進む感じでした。ダンジョンの数は20種類ほど用意されており、アイテムや女の子を求めて同じダンジョンを周回することも多かったです。
敵や女の子のいるコマに進むと、ターン制コマンド選択式のバトルが始まります。攻撃できるのは前衛の4人だけですが、行動消費なしで自由にメンバーを入れ替えられる総力戦です。HP・MPの状況や敵との相性を意識しながら、交代を駆使して戦います。序盤は仲間が少ないので、余り活用できないものの、人数やスキルが増えるにつれて戦略の幅が大きく広がりました。スピードの高いキャラで先手を取って、攻撃力の高いメンバーに交代して速攻を決めるなど、工夫しがいのあるゲームシステムです。併せて、軽快に動く戦闘アニメーションも大きな見どころでした。
戦略性があって楽しめる反面、操作が煩雑だったのは、気になる部分でした。キャラクターの位置と射程を合わせないと攻撃できないので、行動順が回ってくるたびに、ホイールで位置を調整してコマンドを選択する手順が発生します。スキルと敵の種類によって相性が存在したり、ドナドナする女の子は最後に倒さなければならなかったりと、考えることも多いです。戦闘が発生する頻度も高く、設定次第でバトルスピードを高速化できるものの、操作がスピード感に追いつかず、気持ちよくプレイできない感触でした。
戦闘終了時点の前衛しか経験値を得られない仕様で、ボス戦向きや回復役など、汎用性が低いキャラクターのレベリングも面倒な部分です。最後の敵を倒す直前で、経験値を与えたいキャラクターに入れ替えなければなりません。レベルによるステータスの伸びが大きく、ちょっとしたレベル差でも戦力外になりがちなので、常に経験値の分散を意識する必要があります。ある程度はサクサクと遊べるよう、前衛の数割でも良いので、後衛にも経験値を分け与えてほしいと強く感じました。
女の子を使ってコキャクからお金を搾り取る「ハルウリ」
ドナドナした女の子で商売をする「ハルウリ」は、「ハケン」と併せて、本作における唯一の金策方法です。女の子には、「ルックス」「テクニック」「メンタル」「属性」のステータスが存在。「ルックス」はコキャクからの選ばれやすさ、「テクニック」は選ばれた際の売上げと連動、「メンタル」は最低値まで落ちると壊れて稼げなくなる、「属性」はコキャクの性癖が一致した際に客引きしやすいなど、なかなか細かいゲームシステムです。うまく他店よりも魅力的なジンザイを立たせて、コキャクからなるべく多くのお金を搾り取らなければなりません。
アイテム使用や会話、ハルウリを行うことでステータスが変動したり、「妊娠」するとステータス変動が悪化するためピルでガードしたりと、題材は酷いですが、ゲームとしては面白いコンテンツです。コキャクの要望に応えるジンザイを用意して、高額の報酬を得られる「ハケン」もあって、よく作り込まれていました。コキャクに女性が混ざっていたり、ハケンの要望がピンポイントだったりと、性癖の数は無限大です。一人一人を大事にケアしながら長く稼ぐか、使い潰しながらドナドナで補充するかも、プレイスタイル次第でした。
ハルウリ用として、ゲストキャラクターデザイナーによる、13人のユニークヒロインも登場。特定のポイントでドナドナでき、条件を達成することでイベントが発生します。割とかわいそうなミニストーリーが展開されて、各キャラ複数のイベントスチルも用意されていました。ジンザイやコキャクを自作して、ゲーム内に登場させられる遊び心満載の機能もあって、ユニークなゲームシステムを最大限に活かしています。
コンテンツ同士の繋がりが悪く回らないゲームサイクル
毎ターン、「ヒトカリ」か「ハルウリ」かを選んで進めていくゲームですが、「ハルウリ」が「ヒトカリ」のドナドナで成り立っているのに対して、「ハルウリ」が「ヒトカリ」に与える影響が少ないのは残念でした。お金の使い道が「ハルウリ」に偏っているため、「ハルウリ」に注力してお金を稼いでも、「ヒトカリ」は楽になりません。一応、消費アイテムの購入や、武器の新調に必要とはいえ、「ハルウリ」のアイテムや施設購入に比べると微々たる額です。作中でクラン維持のために資金が必要と語られるものの、「ハルウリ」のために「ハルウリ」をしている感触でした。
中盤以降は「ハケン」で大金が手に入るため、「ハルウリ」を行う機会が一気に減ります。ストーリーの進行条件に「1日のハルウリで○○円稼ぐ」「1日のハルウリで○人以上のコキャクを入れる」などが存在するので、それらをクリアする際だけ実施する感覚です。「ハルウリ」を行わなければステータスの悪化も起こらず、女の子と会話でケアする日々が続き、終盤は健全なジンザイがそろっていました。もう少し「ヒトカリ」に関する大きなお金の使い道があれば、お金のために「ハルウリ」を行う必要も増えて、ゲームサイクルが回せたのではないかと思います。
「ヒトカリ」と「ハルウリ」の関係同様、ストーリー進行とメンバー交遊の関係も、遊びにくい感触でした。イベントの発生で誰か1人でも欠けていると、全員と交遊が起こせなくなる仕様でありながら、中盤以降はメンバーの離脱頻度がかなり高いです。交遊はイベント発生だけでなく、能力の解放や個別エンディングの分岐にも関わってくるので、頻繁に滞ると困りものでした。メンバーが欠けるイベントのダンジョンは難易度が高いことも多く、交遊と平行してレベリングをするため、イベント発生前のセーブデータに戻って経験値を稼ぐこともあったくらいです。
さいごに
ところどころに不満を感じながらも、クリアまでプレイする手は止まらなかったので、本当に惜しい印象の作品でした。特に、バトル時の手間は、慣れればある程度はスムーズに操作できていたにもかかわらず、序盤の苦手意識を最後まで引きずってしまった感触です。体験版も配信されていますが、人数の少ない序盤しか遊べないため、バトルは本格的に面白くなる前に終わってしまう認識で触ってみると良いかと思います。