ジャンル | 史上最凶のシミュレーションRPG |
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ハード | PlayStation 4 Nintendo Switch |
発売日 | 2021年1月28日 |
発売元 | 日本一ソフトウェア |
開発元 | 日本一ソフトウェア |
公式サイト | リンク |
日本一ソフトウェアがおくる史上最凶のシミュレーションRPG「魔界戦記ディスガイア6」のレビュー記事です。
6年ぶりのナンバリングで様変わりした本作。過去作に比べて1万倍の超インフレやキャラクターの3Dモデル化、自動戦闘&周回機能の実装によって、遊びの感触が大きく変化しました。SRPGであることに変わりはないものの、一手一手を考えながら戦うのではなく、効率的な自動周回を試行錯誤するのが面白いSRPGです。手動操作の大半は周回の事前準備になるため、環境構築中心のプレイを楽しめるかで評価が分かれます。
自動戦闘と最大32倍の倍速モードによって、超高速で育成が進む中、やり込み要素が見合っていない点は残念でした。特に、アイテムを装備せずとも各種ステータスがカンストするため、「アイテム界」が形ばかりの物になっています。入念な育成を要求されるような強敵も不在で、自動戦闘&周回機能で試行錯誤する新しい面白さに対して、遊びごたえが圧倒的に不足している作品でした。
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過去作に比べて1万倍の超インフレSRPG
過去作でもインフレが特徴だった「ディスガイアシリーズ」ですが、今作ではさらに1万倍の超インフレに到達。ゲーム開始時点のLv1でも、各種パラメータが数万と圧倒的です。「超転生」することによって得られる「カルマ」で強化を繰り返すと、最大レベル9999万、最大HP9999京、最大ダメージ「垓」越え、累計ダメージ「秭」越えと、日常生活では目にすることのない単位が並びます。
数字が大きすぎると、育てるのも大変そうだと感じますが、実際は過去作のバランスに1万を掛けただけの印象です。良くも悪くも超インフレは雰囲気作りとはいえ、今までに見たことのないような数値が表示されると、爽快感も上がりました。
3Dモデル化でキャラクターがより魅力的に
キャラクターが3Dモデル化された点は、特筆したい大きな進化でした。「原田たけひと」さんのキャラクターデザインを活かしつつ、しっかりと作り込まれており、魅力が大幅に上昇しています。これまでにはできなかった演出も多く、魔法使いがクルッと回りながら笑顔を見せてくれる動作は、何度見ても幸福感を覚えるかわいさでした。
個々の魅力が上昇した反面、汎用キャラクターや特殊技の種類が少ないのは物足りなく、クオリティアップと併せてボリュームも頑張ってほしかったです。
快適爽快な自動戦闘&周回と倍速モード
インフレが「ディスガイアシリーズ」の特徴とすれば、自動戦闘&周回機能は「ディスガイア6」最大の特徴です。勝手に戦ってくれる「自動戦闘」に加えて、同じステージを繰り返す「周回機能」を組み合わせれば、全自動で稼ぎプレイを行ってくれます。さらに、自動戦闘のAIをかなり細かく設定できるので、しっかり準備をすれば、手動プレイに負けない効率で回せました。ストーリーの進行に合わせて倍率の上がる倍速機能や、演出省略機能も解放されていくため、最終的には32倍速&演出超省略の高速周回が可能です。
従来のシリーズ作品同様、自動機能を使わず手動プレイもできますが、基本的には自動で遊ぶ前提のバランスでした。稼ぎたい物や状況によっては、手動の方が効率の上がる場面もあるとはいえ、最初から最後まで自動戦闘で事足ります。一手一手を考えながら戦うのが楽しいSRPGではなく、自動戦闘を含めた効率的な周回を試行錯誤するのが面白いSRPGです。手動操作の大半は周回の事前準備になるため、環境構築中心のプレイを楽しめるかで評価が分かれそうでした。
自動戦闘&周回機能における最大の敵は「エラー落ち」や「フリーズ」です。私の環境(PS5)では、頻度はそこまで高くなかったものの、長時間放置していると止まっていることもありました。幸いなことにオートセーブ機能が備わっており、自動周回中も1分に1度のペースでセーブしてくれるため、止まっても全てが無駄にならない点は良かったです。
アイテム不要で形骸化した「アイテム界」
育成の基本となる「超転生」&「カルマ」の素質解放が強力すぎて、アイテム界の存在が形骸化していたのは残念でした。超転生を繰り返すだけで、装備なしでも全ステータスがカンストするため、アイテムを育てる意味がありません。アイテム界も自動戦闘で潜り続けられるとはいえ、同じ時間でレベル上げを繰り返した方が確実に強くなります。途中セーブのできないアイテム界では、オートセーブ機能も使えないため、「エラー落ち」「フリーズ」のリスクも高かったです。
自動的にアイテム界を探索してくれる「アイテム界調査団」も存在しましたが、送り出し&回収の操作が煩雑で、ほとんど使いませんでした。自動周回とのシナジー効果は高いシステムとはいえ、手間に対して得られる物が乏しく、こちらも形だけのシステムになっていた感じです。
やり込みが浅く圧倒的に足りない遊びごたえ
自動機能に合わせた新システムが追加されている反面、全体のゲームシステムは簡素化されており、お世辞にも遊びごたえがあるとは言いにくかったです。前述したように、アイテムの強化が不要で、終始「超転生」&「カルマ」の素質解放を繰り返すことになります。一応、プラチナトロフィー取得までプレイしてみましたが、入念な育成や工夫を要求されるような強敵も不在のため、やり込みが浅い印象でした。超高速で自動周回ができるようになった分だけ、ゲームとしての奥深さもしっかりと用意してほしかったです。
「ゾンビ」×「異世界転生」ながらも王道的なストーリー
最弱ゾンビの主人公が破壊神との戦いを繰り返しながら、様々な異世界へ転生するストーリーは、一風変わった設定ながらも意外と王道的でした。尖った面白さこそないですが、楽しみやすい内容です。
後日談では、ラハール殿下たちが参戦。とはいえ、凝ったストーリーが用意されているわけではなく、登場してはショートコントを経て戦闘を繰り返すだけなので、過度の期待は禁物でした。クリア後は仲間になって、彼らの3Dモデルや特殊技の演出を堪能できたのはうれしかったです。
さいごに
やり込みの浅さから、遊び終えても物足りなさを感じましたが、自動戦闘&周回機能の方向性自体は好ましかったです。プラチナトロフィー獲得後もいろいろと遊んでみるくらいには気に入ったので、次回作以降にも継承されるなら、ゲーム側にもしっかりとしたコンテンツが備わっていることを期待します。