【デス エンド リクエスト 2 | PS4】評価・レビュー 大幅にスケールダウンした続編ホラーRPG

総評
凄惨なデスエンドが際立つサイコホラーRPG。前作の特徴を引き継いではいるものの、使い回しや粗い部分が目立ち、全てにおいて劣化版のような続編です。
良かったところ
凄惨なサイコホラーストーリー
悪かったところ
シンプルすぎて単調なRPGパート
使い回しと手抜きが目立つグラフィック
数えるほどしか用意されていないデスエンド
1
C-
ジャンル RPG
ハード PlayStation 4
発売日 2020年2月13日
発売元 コンパイルハート
開発元 コンパイルハート
公式サイト リンク
プレイ時間 ストーリークリアまで13時間

 コンパイルハートがおくるRPG「Death end re;Quest2(デス エンド リクエスト 2)」のレビュー記事です。

 ゲーム世界を題材にした前作「デス エンド リクエスト」の続編となる本作。主人公や舞台が一新されており、続き物でありながら、方向性は大きく様変わりしています。序盤だけを見れば、今作からでも楽しめそうな作風ですが、最終的には前作の知識が必須となる点には注意が必要です。

 残念ながら、ゲームとしては、前作に比べて大幅にスケールダウンしている感触でした。デスエンドは数えるほどしかなく、登場人物のイラストも大半が前作の使い回しかクオリティの低い上半身のみです。RPG部分も目立って面白い要素はなく、シナリオだけは好感触だったことから、RPGが評価の足を引っ張るRPGというアンバランスな作品に仕上がっていました。

疑念と恐怖に彩られたサイコホラーストーリー

 ゲーム世界から現実世界に舞台が移り変わってはいるものの、凄惨なデスエンドをアピールポイントにした、サイコホラーストーリーは健在です。閉鎖された街に散見される違和感。何かを隠している大人たち。夜な夜な起こる怪事件。消えた妹を探すために訪れた主人公は、疑念と恐怖を抱きながら、街に秘められた謎を解き明かしていきます。

 主人公と舞台が一新されていることから、ある程度までは本作だけで完結しているものの、途中から前作の世界観やキャラクターが大きく関わってきます。最終的には、前作の知識前提で物語が進んでいくため、いきなり本作からプレイするのはおすすめできません。

 前作をクリア済のユーザー視点では、残されていた謎の一部が解けるのはうれしい展開でした。しかし、完全解明とはいかず、更に持ち越されてしまう謎も存在するため、過度の期待は禁物です。一部未完結が好きではない方は、注意してください。

アドベンチャーゲーム風に進行する昼パート

 ゲーム進行は、他の登場人物とコミュニケーションを行う昼パートと、怪物が徘徊する街を探索する夜パートで構成されています。2つのパートを交互に進めながら、ストーリーの核心に迫っていく形式です。

 昼パートでは、登場人物を選択して、会話を行うアドベンチャーゲーム風のシステムが用意されています。時間制限などはなく、表示されている人物全員と会話することが可能です。ただし、選択肢の結果によっては消えてしまう相手もいるため、会話をコンプリートするためには慎重なプレイが要求されます。

 ストーリーのシナリオはボイスと合わせて好感触で、程よい恐怖やスリルを堪能できる反面、演出の力不足が目立っていたのは残念でした。総勢30名以上のキャラクターが登場するものの、前作の使い回しを除けば、立ち絵のある人物は数人しかいません。真っ黒の画面にテキストだけを流す描写も多く、物足りなさを感じてしまいました。

シンプルで単調になりがちな夜のRPGパート

 RPGの要素は、全てにおいて前作よりスケールダウンしている印象でした。新規プレイアブルキャラクターは3人のみで、残りは前作アバターの使い回しで埋められています。キャラクターの固有能力「バグアクション」も3種類しか存在しないため、延々と同じフィールドギミックが続きました。アクセントとして、触れたら即死の「黒い影」が登場するものの、何の面白みもなく道を塞ぐだけのお邪魔キャラで、単なるストレス要因でした。

 戦闘も、敵を吹き飛ばす「ノックバグ」システムが「スーパーノックバグ」とパワーアップしている以外に、追加要素はありません。逆に、「グリッジスタイル」からリスクが取り除かれたり、戦闘に介入する「バトルジャック」が存在しなかったりと、かなりシンプルな内容に様変わりしています。最初から最後まで、敵の属性を確認して吹き飛ばすだけの作業です。

 ゲームシステムに「オートバトル」と「難易度選択」が用意されていたのは幸いでした。完全に力押しのAIで、よそ見していると事故死する場合もありますが、高速で戦闘を消化することが可能です。全てのエンディングを見るには周回プレイが必須のため、2周目は低難易度をオートバトルで進めました。

専用イラスト付きだが数の少ないデスエンド

 選択肢の行動によって、悲惨な「デスエンド」を迎える展開は、本シリーズの大きなアピールポイントです。前作では、黒背景にテキストだけの雑な結末が量産されており、不満点の一つだったのですが、今作ではキチンと専用イラストが用意されています。その代わりに、デスエンド自体が数えるほどしかありません。

 よく言えば、全てのデスエンドが高いクオリティになっているとはいえ、どうにも納得のいかない方針転換です。デスエンドの発生も、選択肢で誤った解答を選ぶパターンしか存在しないため、選択肢を潰していくだけで簡単にコンプリートできてしまいました。

さいごに

 世界観や登場人物を流用している以外に、続編である必要性は感じられず、使い回しによる手抜きが目立つ作品でした。かなりローコストの印象であるにもかかわらず、価格設定が前作と同じ点も腑に落ちません。前作のレビューでも同じことを書きましたが、他作品とのコラボや、実在の人物を立ち絵付きで登場させる余裕があるなら、もっとゲーム本編に注力してほしかったです。

 2作目が低評価になってしまったものの、シリーズを通して引き継がれている謎に関しては興味深く、次回作が発売されるなら、おそらく購入すると思います。次こそは、しっかりと作り込まれた作品に仕上がっていることを、願うばかりです。