ジャンル | ドラマティック探索アクションRPG |
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ハード | PlayStation 4 Xbox One Steam |
発売日 | 2019年9月28日 |
発売元 | バンダイナムコエンターテインメント |
開発元 | シフト |
公式サイト | リンク |
プレイ時間 | ストーリークリアまで32時間 |
バンダイナムコとシフトがおくるドラマティック探索アクションRPG「CODE VEIN(コードヴェイン)」のレビュー記事です。
「ゴッドイーター」シリーズの開発陣が多く関わっている本作。討伐アクションではなく、「死にゲー」に近い探索アクションということで、ゲーム性に差違はあるものの、様々な部分で共通性が垣間見える作品でした。さらに、ストーリーでは作品同士の関係性を明確に示す演出が用意されており、完全新作ではない点には注意が必要です。
肝心のゲーム部分は、複雑な固有名詞が多く登場するため、取っつきにくい感じが強いですが、程よい難易度で手ごたえと爽快感が両立されていました。複雑すぎるフィールド構造を中心に、もっと洗練してほしいと感じる部分が多く存在するものの、総評としては高評価の作品です。
過去と現在を繋ぐドラマティックストーリー
「大崩壊」と呼ばれる災厄に見舞われ、赤い霧に閉鎖された世界を舞台にしたストーリーは、吸血鬼(レヴナント)たちの生存競争を描いた物語です。「クイーン討伐戦」や「赤い霧の発生」といった、大きな出来事が過ぎ去ったあとの現在から、過去の歴史に秘められた様々な謎を紐解いていきます。
高い不死性を持つと同時に、蘇るたびに記憶を失う吸血鬼の特性を活かした、過去の見せ方は秀逸です。メインストーリーを魅力的に仕上げているだけでなく、各キャラクターの掘り下げにも活用されており、作品の主軸となっていました。プレイヤー操作による移動が多いことに若干の不満を覚えたものの、過去の出来事を劇場的に見せていく回想演出も好感触です。
総合的に見るとストーリーの満足度は十分ではあるものの、余り必要性を感じられなかったマルチエンディング形式を筆頭に、気になる部分も散見されます。一部のイベントでは、感動のシーンを台無しにするような茶番劇が繰り返されるなど、問題点も多く存在するため、完成度が高いとは言い難い点は残念でした。
「ゴッドイーター」シリーズの開発陣が多く関わっており、全体的な雰囲気が似通っているだけでなく、様々な部分で共通性が確認される点も重要です。ネタバレになるため詳細は語れませんが、両作品の関連性を明確に示す演出も用意されており、ファンサービスの枠に収まらない関係となっています。「ゴッドイーター」シリーズが好きならうれしい仕込みではあるものの、完全新作を期待しているなら注意が必要でした。
手ごたえと爽快感を兼ね揃えたアクション
アクションパートは、高い難易度と迅速な復帰・再開が組み合わさった、いわゆる「死にゲー」に該当するジャンルです。ただし、「死にゲー」としては控えめな難易度となっており、そこまで警戒する必要はありません。しっかりと育成して、無謀な戦いをしない限り、頻繁に死ぬことはなかったです。オンライン接続が可能なら、他プレイヤーに救援を求めることもできるため、詰むことはない作りになっています。
戦闘の基本は、2種類の武器による弱・中攻撃と、吸血牙装の吸血アクションを中心とした立ち回りです。併せて、冥血を消費する錬血(スキル)を駆使することで、かなり幅広いプレイスタイルが用意されています。聞き慣れない固有名詞が多く、取っつきにくい感じが強いものの、ゲームシステム自体のユニーク性は薄いです。アクションゲームに慣れた人なら、少し触れば理解できます。
探索に同行するバディNPCは、本作において大きな存在です。完全にAI任せの操作ですが、性能はかなり高く、とても頼りになります。バディは6人から選べるようになっており、好みで選ぶか、プレイスタイルの相性で選ぶか悩ましいところでした。反面、2人で戦う前提ということから、敵の猛攻が激しく、バディが死ぬとジリ貧になる場面が多いです。自身だけでなく、バディの存在まで意識したプレイが求められるアクションに仕上がっていました。
組合せ豊富なカスタマイズ・育成要素
育成要素とカスタマイズの中心となるのは、「ブラッドコード」と呼ばれるジョブシステムとなっており、切り替えることで主人公の性能が大きく変化します。さらに、セットできる練血(スキル)は、最大でアクティブ8種類、パッシブ4種類と多く、武器種との組合せによって戦い方も千差万別です。
各ブラッドコードの練血は、敵を一定数倒すことで、他のブラッドコードでも使用できるようになります。プレイを続けていると、同じジョブで戦いがちになりますが、興味のある練血を解放するため、様々なブラッドコードを使用する良い機会になっていました。自分のプレイスタイルと合わずに解放までが面倒な場合、アイテムを消費することで、強制的に解放できる仕組みが用意されていたのもうれしかったです。
ストーリーやアクションの固有名詞同様、パラメータ周りの表記も分かりにくいため、理解するまで近寄り難さを感じるかも知れません。幸いなことに、育成要素の細かいところまで突き詰めなくてもクリアできる難易度なので、手探り半分の直感的な育成でも問題なく楽しめました。
複雑なフィールドと役に立たないマップ機能
美麗で広大なフィールドは、本作の大きな特徴として挙げられるのですが、構造が複雑すぎる点に少しストレスを感じました。「探索アクション」と銘打っているように、戦闘だけでなく探索も1つのコンテンツとはいえ、過剰なまでに入り組んだ構造が目に付きます。行き先を見失ってしまい、迷子になりかけた回数も少なくはありません。
高低差があって、立体的に重なっているフィールドは、特に苦戦しました。見えているルートだけでなく、通路から落下しなければ先へ進めない場合もあって、常に崖下を覗き込むプレイが要求されます。意外なところに重要なアイテムが落ちていることも多いため、隅々まで探索してアイテムの全回収と目指すと、相応の時間が掛かりました。
一応、フィールドを俯瞰するマップ機能や、ミニマップが用意されているものの、階層構造に対応していないため全く役に立ちません。縮尺が2パターンしかなく、拡大状態では自分の周囲で位置固定されてしまうため、本当に使い勝手の悪い機能でした。周囲で残っているアイテムの数や、位置を調べる練血(スキル)が用意されているものの、マップ機能が役立たずでは活用が難しかったです。美麗で広大なフィールド自体は高評価ですが、それに見合った機能をしっかり用意してほしかったと感じます。
頻発するエラー落ちや不具合
プラットフォームや環境に依存している可能性も高いのですが、ストーリークリアまでの約30時間で、3回のエラー落ちが発生しました。特に、1度はラスボスを倒してエンディングに入ったところで発生したため、かなり興ざめです。他にも、何もない場所で動けなくなる場合もあって、安定性に欠けていたのは残念でした。
さいごに
大満足とまでは言えないものの、発売の長期延期など不安要素が多かった印象を覆して、楽しめる作品に仕上がっていました。今後はDLCも予定されているので、併せて改善してほしい部分の調整や安定性の向上を行い、長く楽しめるタイトルに育ってくれることを期待します。