ジャンル | RPG |
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ハード | PlayStation 4 |
発売日 | 2018年5月17日 |
発売元 | フリュー |
開発元 | ヒストリア |
公式サイト | リンク |
プレイ時間 | ストーリークリアまで19時間(無印プレイ済) |
PS4で生まれ変わった学園ジュブナイルRPG「Caligula Overdose -カリギュラ オーバードーズ-」のレビュー記事です。
プラットフォームだけでなく、開発会社も変わって一新された本作。「楽士ルート」を筆頭にした多数の追加要素に加えて、ゲームシステムも大幅に改善されています。ところどころに粗はあるものの、無印版の評価が散々だったこともあって、見違えるほど良いゲームになった印象を受けました。
あくまで良くなったのは前作に比べてなので、文句なしのクオリティではありません。かなり人を選ぶ内容のため、新規で薦められるかは悩ましいところです。しかし、無印版に不満を持ちつつも、独創的なコンセプトや楽曲に光る物を感じていた人には、改めてプレイしてほしいと感じる作品でした。
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無印版の不満点は大きく改善
PS4になってグラフィックが向上したのはもちろん。多発する不具合・フリーズといった論外の物から、長いローディングやひどいカメラワークといった、無印版の不満点は大きく改善されています。ストーリーをクリアするまでに、1度もフリーズしなかっただけでも本作の進化を実感しました。
ローディングも改善されており、無駄な待ち時間が大幅に短縮されています。長すぎた無印版と比較しての短縮なので、決して快速なロードというわけではないですが、少なくともストレスに感じるほどではありません。マップ移動などロード回数は多いゲームなので、うれしい改善です。
自由すぎて手を付けられなかったカメラワークは、可動範囲に制限を付けて一般的な挙動になっています。戦闘中は障害物排除&遠景固定で、強引に視界を確保している代わりに、カメラの操作ができなくなりました。少し遠景すぎる印象でしたが、まともに見えないよりはマシです。
UIの刷新で遊びやすくなったバトルシステム
未来を予測してコンボをつなげる「イマジナリーチェイン」を中心としたバトルシステムも、刷新されてかなり遊びやすくなりました。スタイリッシュすぎて分かりにくかったステータスやUIがプレイヤーの理解しやすい表記に変わっただけでもプレイの感触が大きく違います。
戦闘開始時に展開されるバトルフィールドも、主人公を中心に障害物を無視して一定範囲まで拡張されるようになったので快適です。無印版のように狭い通路でエンカウントして、敵の範囲攻撃にハメ殺されたり、何が起こっているのか理解できない乱戦になったりはしませんでした。
未来予測を確認しながらコマンドの調整を繰り返す必要があるため、テンポが悪いのは無印版と同じです。バトルシステムの仕様上、時間が掛かってしまうのは仕方ないのですが、行動後の硬直時間も長いので、戦闘速度の調整や演出スキップといった機能が欲しいと感じました。
気持ちよく探索できないマップ構造は健在
キャラクターの追加によって新ダンジョンの追加や細部が変化しているものの、ダンジョンのマップ構造は無印版と変わりません。シンボルエンカウントを回避できないほど狭い通路や、プレイヤーを迷わせて無駄に歩かせる煩雑な分岐も健在です。
バトルシステムが遊びやすくなったため、戦闘を強要されることに対するストレスは軽減されたものの、気持ちよく探索できないマップ構造はストレスでした。セーブ間の転移がクリア前でも解禁されていれば、無駄足や二度手間も減ったのではないかと思います。
裏切りの背徳感が楽しめる楽士ルート
帰宅部として活動しながら、裏では楽士たちと繋がる「楽士ルート」は、オーバードーズ最大の追加要素です。無印版では戦うしかなかった楽士たちと共闘や、キャラクターシナリオを通じて心の奥に踏み込めます。もちろん主人公を楽士とした新曲も用意されていました。
最初から完全に裏切るわけではないため、基本的には表の帰宅部ルートと裏の楽士ルートを交互に進めていく形式になります。1周目から選べるため、無印版で帰宅部ルートをプレイ済みの方や、最初から表も裏も楽しみたい方は、いきなり裏切ってプレイすることも可能です。
帰宅部ルートで倒した楽士が、裏ではプレイアブルキャラクターとして解放されていく展開は秀逸で、プレイヤーの背徳感を程良く煽ってきます。騙し続けてきた帰宅部の仲間たちに裏切りを明かす最後の選択と反応が、楽士ルート最大の見せ場となっていました。
随所で目についたクオリティ不足と手抜き
低い評価だった無印版に比べて、大きく改善された本作の評価は高いのですが、良作というには1歩足りない印象でした。3Dモデルやアニメのクオリティが低かったり、女性主人公で遊んでいるのに男性相手のセリフがそのままにされていたりと、目に見えて残念に感じる部分も多かったです。
楽士の必殺技が全て帰宅部の使い回しという点もガッカリでした。主人公のスキルが表裏で同じなのは仕方がないにしても、主人公の必殺技を更に使い回している楽士や、同じキャラの必殺技を複数人で使い回している楽士もいて、あからさまな手抜きに驚きを隠せません。
ゲーム内の楽曲と演出は今作でも高評価
無印版で数少ない良かった点と感じていた楽曲は、今作でも変わらずの高評価でした。楽士やストーリーに対応した楽曲が各ダンジョンで流れて、バトル突入時にインストゥルメンタルからボーカル付きに切り替わる演出は、曲のすばらしさもあって何時間プレイしても飽きません。
既存曲はもちろん、主人公を含めた新楽士の楽曲やリミックス版も良い曲ぞろいです。しかも、追加曲は全て特典のアルバムに収録されているため、サントラの発売を待たずにいつでも聴けてうれしい限りでした。実は、購入動機の半分は楽曲といっても過言ではありません。
さいごに
少し要素を追加しただけの完全版なら購入を考えなかったのですが、大胆な楽士ルートやゲームシステムの一新に期待しての購入。ところどころに不満点やクオリティ不足が目立つものの、普通に楽しめるゲームになっていただけでも大きな進化という評価です。
無印版をプレイした当時に惜しいと感じた方や、私のように今でも無印版のアルバムを聴き続けている人には、改めてのプレイをおすすめしたい作品でした。