ジャンル | RPG |
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ハード | Nintendo 3DS |
発売日 | 2015年4月23日 |
発売元 | スクウェア・エニックス |
開発元 | シリコンスタジオ |
公式サイト | リンク |
プレイ時間 | ストーリークリアまで50時間 |
ブレイブリーシリーズ最新作「ブレイブリーセカンド」のレビュー記事です。。
新しい主人公・ヒロインに加えて、前作(ブレイブリーデフォルト)のキャラクターも登場する続編となっており、クリアするだけでも50時間の大ボリューム作品です。一見すると王道RPGの雰囲気ですが、言葉遊び・メタ要素・ループしない周回要素といった、特異な要素が数多く用意された異色作でした。
本編とかみ合わないサブクエストや快適すぎるエンカウント率操作など、不満点も目立つとはいえ、独特の方向性で様々な挑戦を盛り込んだ作風は好みです。
目次で流し読み
本作から遊んでも十分に楽しめる丁寧な前編解説
主人公とヒロインが変わったとはいえ、前作から数年後の世界で完全にストーリーが続いている正当続編。未プレイでは遊べないのかと不安になりそうですが、ゲーム内や公式サイトでストーリー補完が用意されているから安心です。特に公式動画の「5分でわかるブレイブリーデフォルト」は前作をプレイした人でも復習のために必見の内容でした。
ブレイブリーセカンドでは、メインキャラクター以外にも多数の前作キャラクターが登場します。彼らも登場時に解説が挿入されるため、最低限の予備知識を得てストーリーを楽しむことが可能です。もちろん、前作をしっかりプレイした方がより一層楽しめることは間違いありません。もし前作から通して遊ぶことを考えているなら、先に挙げた動画はネタバレ全開なので注意してください。
王道RPGのように見えて、特殊な要素が盛り込まれた型破りの物語
皇帝にさらわれた前作ヒロイン(アニエス)を救い出すために、新旧主人公が冒険するRPG。ここまでは正統派なのですが、ブレイブリーセカンドやサブタイトルの意味、周回の鍵となるポイントが明かされていくと、大きく印象が変わりました。メタ要素もが多用されており、「第四の壁を破る」作品でもあります。
よくある「御都合主義」「主人公に都合の良い展開」も多いのですが、そうなるべき理由が作品内に存在していることも特徴の1つです。”都合の良い展開が用意”されているのではなく”都合の良い結果にたどり着く”ため、主人公とプレイヤーが奮闘する物語でした。
悩ましい選択や前作の後日談が魅力も、本編とかみ合わないサブシナリオ
前作のキャラクターたちが登場して、どちらかの主張を選ぶことでシナリオが分岐。選択によって手に入るジョブも変わるため、好みで選ぶか、欲しいジョブで選ぶか悩ましい要素となっています。後日談も兼ねており、前作をプレイした人にとっては感慨深い内容ばかりです。2周目以降は、内容を短くまとめて遊びやすくなっているなど、細かい配慮も見受けられます。
しかし、本編とかみ合っていない内容が目に付きました。世界が終わってしまう前に、アニエスを救い出すのが目的なのに、サブシナリオは完全な寄り道です。もちろん、ジョブを手に入れることで戦力の増強につながるわけですが、長いものだと半月以上の時間経過がハッキリと明示されます。さんざん寄り道した挙げ句「間に合わなかった」展開に陥っても、『それは仕方がないよ!!』と突っ込みたい。前作の後日談やRPGとしては高評価だけど、ゲーム全体に対して浮いた印象を感じました。
更に幅広い戦略と育成を楽しめるようになったジョブ・アビリティ
サブシナリオで入手できる前作の定番ジョブに加えて、「ねこ使い」「パティシエ」「エクソシスト」といった特殊ジョブが登場。全30ジョブxアビリティx4人パーティーで膨大な組合せが用意されています。最大10通りのマイセットが用意されており、気軽に変更できる点も良かったです。
安全で快適すぎるエンカウント率操作と連続チャンス
ブレイブリーセカンドから実装された、エンカウント率を-100~+100%まで自由に操作できる快適機能。特にデメリットはないので、探索や移動は常に-100%で進めていました。経験値は手に入らないですが、ボス戦前にセーブ&回復ポイントが用意されているため、直前で+100%にしてレベルを上げてからボスに挑む繰り返しです。
加えて、1ターン撃破を繰り返すことで報酬が増えていく連続チャンスは、ボス戦前の荒稼ぎに最適でした。回復ポイントが目の前にあるので、毎戦闘を全力で戦っても問題ありません。おかげでエンカウント率操作と組み合わせると、常に作業感がつきまといました。ジョブがそろってくると、オート戦闘だけで数連チャンできてしまいます。
TIPSで「経験値を稼ぎすぎたら自分で調整」と言われるなど、本作には基準となるバランスが存在しません。ゲームに不慣れでもクリアしやすくしている感じでたが、少し行き過ぎていると思います。楽しく遊びやすいのと、誰でも簡単にクリアできるのは、似ているけど別物です。「○○を使わなければ良いバランス」なんて縛った評価は違和感を抱くため、甘すぎる調整は今ひとつでした。
熱中すると怖い”ながらプレイ”「カプカプメーカー」
簡単な操作でカプカプが量産されていくミニゲーム。時間経過で復興が進んでいく月面基地と併せて、他のことをしながらでも楽しめるサブ要素です。このカプカプメーカーが単純ながらも面白く、気づいたら何十分も作り続けてしまう恐ろしい中毒性。あっという間に1億カプを超えてしまい、自分でも驚きです。
作ったカプカプはゲームが進むと換金できるようになるため、終盤は一気に大金持ち。サウンド試聴も兼ねており、作れば作るほど新しい楽曲が解放されていきます。曲を楽しみながらも手を動かして、更にカプカプを増産していく。1粒で何度もおいしいミニゲームになっていました。
さいごに:好みが分かれる型破りの異色RPG
挑戦的な要素を盛り込んだ作風が好きなので、メタ要素や言葉遊びに対する評価は高いです。反面、余りにも本編とかみ合わないサブクエストや、大胆すぎるゲームバランスには首をかしげてしまいます。王道RPGの雰囲気をまといながらも、人を選びそうな部分が多く、本当に異色作でした。
「ブレイブリーデフォルト」と同様に、早くも作品内で続編の存在を示唆している本作。「ブレイブリーセカンド」としての物語はキッチリ完結させながらも、シリーズは終わりません。媒体や形式は不明ですが、今後の新情報を楽しみにしつつ、しばらくはクリア後要素を楽しんでいく予定です。