【ブルーリフレクション TIE/帝】評価・レビュー 少女たちの友情と葛藤を描いたヒロイックRPG

総評
少女たちの友情と葛藤を描いたヒロイックRPG。謎に包まれたメインストーリーに加えて、デートイベントなどコミュニケーションパートが豊富で、アドベンチャーゲーム寄りの魅力を備えた作品です。
良かったところ
魅力的に描かれた少女たち
謎に包まれた青春活劇ストーリー
バリエーション豊富な個別・デートイベント
悪かったところ
フルボイスではないイベント中の会話
5
A+
ジャンル ヒロイックRPG
ハード PlayStation 4
Nintendo Switch
Steam
発売日 2021年10月21日
発売元 コーエーテクモゲームス(ガスト)
開発元 コーエーテクモゲームス(ガスト)
公式サイト リンク
プレイ時間 ストーリークリアまで31時間

 ガストがおくるヒロイックRPG「BLUE REFLECTION TIE/帝(ブルーリフレクション タイ)」のレビュー記事です。

 少女たちの友情と葛藤を描いたストーリーが魅力の本作。登場するキャラクターは美少女のみという徹底されたコンセプトに、独特の雰囲気が合わさって、唯一無二の世界観が構築されていました。最大限に楽しむなら「前作」「アニメ」の予備知識が必要ではあるものの、謎に包まれた、物語の続きや真相が気になるシナリオ構成も高評価です。

 メインストーリー以外に、バリエーション豊富な個別・デートイベントが存在する点も大きな魅力でした。残念ながらフルボイスではなく、惜しいと感じた部分もあるとはいえ、多彩なコミュニケーションを楽しめます。バトル要素は低難度で演出寄りのコンテンツとなっており、RPGらしいRPGではなく、アドベンチャーゲームに近い魅力を備えた作品でした。

友情と葛藤を描いた青春活劇ストーリー

 海に囲まれた学校を舞台に、主人公が迷い込んできたところから始まるストーリーは、少女たちの友情と葛藤を描いた青春活劇です。登場するキャラクターは主人公を除いて記憶を失っており、元の世界に帰る方法も見当がつかない、謎に包まれた共同生活が続きます。学校からつながる異空間「ココロトープ」を探索することで記憶を取り戻し、徐々に世界の全貌が見えてくる、物語の続きや真相が気になるシナリオ構成でした。

 登場するキャラクターは美少女のみという徹底されたコンセプトに加えて、絶妙なカメラアングルや水による濡れ透けなど、少女を魅せるこだわりの強さが際立ちます。光のエフェクトを多用した独特の雰囲気や、岸田メル氏によるキャラクターデザインの魅力を存分に引き出している3Dモデルもあり、前作同様に唯一無二の世界観が構築されていました。

最大限に楽しむなら「前作」「アニメ」はチェック推奨

 「BLUE REFLECTION 幻に舞う少女の剣」の続編であり、アニメ「BLUE REFLECTION RAY/澪」、モバイルアプリ「BLUE REFLECTION SUN/燦」と世界観を共有する本作。登場するキャラクターのうち半分は、別作品で主人公やメインキャラクターの立ち位置に置かれており、複雑な関係を築いています。

 本作のメインストーリーは単独で完結する内容ですが、作品の魅力を最大限に体験するなら、事前に「前作」と「アニメ」のチェックを推奨です。時系列としては発売・放送された順番になっているため、過去作品の知識があれば、より深く楽しめます。特に、記憶が失われていることで性格が異なるキャラクターの存在は、本来の姿を知っているかどうかで印象が大きく変わりそうな部分でした。

 時系列が「前作」「アニメ」よりも後ということもあって、本作に必要な知識を得る過程で、過去作品のネタバレを知ることになるのも気になる点です。本作をプレイした後、過去作品に興味を持たなければ問題はないですが、逆の順番で体験すると面白さが損なわれる可能性があります。

少女たちの共同生活を彩る工作・学校開発

 学校だけの閉鎖された空間を賑やかにするため、工作・学校開発を行うことによって、校内に様々な施設を設置できます。校門前に屋台や自動販売機を設置するといった常識的な物から、プールを巨大なお風呂にする奇抜な改造まで、施設の種類は多岐にわたります。ストーリー進行のフラグとなるだけでなく、ステータス強化が発生したり、デートスポットとして機能したりと本作におけるメインコンテンツの1つでした。

 工作・学校開発に必要な材料は、「ココロトープ」での採取や、モンスターからのドロップで収集します。一部のユニークな制作物を除いて、材料は固有アイテムではなく「木材」「金属」といった分類で扱われるため、過剰な収集を要求しない点も好印象でした。施設の強化に手を出し始めると、同一の素材を大量に要求されますが、建築するだけなら探索の道中で拾い集めるだけでも十分に足りるバランスです。

バリエーション豊富な個別・デートイベント

 メインストーリー以外に、様々な個別・デートイベントが用意されている点は、本作の大きな魅力です。イベントの総数は数え切れないほどで、デートだけでもキャラクターごとに10個以上のパターンが用意されています。メインストーリーと併せると、イベントパートがプレイ時間の大半を占めており、RPGでありながらアドベンチャーゲームのようなコミュニケーションが堪能できました。

 親密になれるキャラクターが9人と多いこともあって、デートイベントを何度も繰り返す場面もありますが、わざわざ校内を移動して相手を探す必要はありません。スマホのアプリから誘えるので、デートのはしごも手軽に行えます。デートだけでなく、サブクエストの受注や工作・学校開発もファストトラベルとアプリから直接できるため、学校での活動がスムーズに行えた点は好感触でした。

 豊富な個別・デートイベントが存在する反面、イベント中の会話がフルボイスでないのは残念でした。ボイス付きで見たいと感じるシーンが多かっただけに、妥協せず万全を目指してほしかったです。ゲーム内に時間・天候の変化が存在するにもかかわらず、状況を無視した会話も目立ち、細かい部分が気になってしまう人は興ざめしてしまうかもしれません。

遊びやすさ重視で演出寄りのバトルパート

 モンスターとの戦闘は、リアルタイムで進行するコマンドバトル形式です。時間経過によって増加するエーテルを消費して、攻撃・補助・回復などの様々なスキルを発動します。スキルを使用するごとに、エーテルの回復速度や最大値が増加。コンボ数によってダメージに補正が掛かるシステムも存在しており、戦闘時間の経過に比例して、バトルスピードやダメージが上昇していきます。

 リアルタイムでスピード感のある戦闘ですが、難度はかなり低く、ゲーム慣れしていない人でも遊びやすく作られています。長期戦になるほど有利になる仕様なので、ボス戦の序盤は回復や防御に専念して、強化されてから攻撃に移るといった戦い方も可能です。デートや学校開発をしっかり行っていれば、苦戦することはほぼないですが、ストーリー重視でサクサク遊びたい方には難易度「EASY」も用意されていました。

 RPGにおけるバトル要素といえば、メインコンテンツのイメージが強いですが、本作においては演出の一部という感触です。戦闘自体の面白さを体験させるというよりも、変身して戦う少女たちのギャップやかっこよさを見せるパートでした。2周目に解放される難易度「HARD」や、DLCで実装予定の高難度は存在するものの、少なくとも1周目は手応えが楽しめるものではなかったです。

さいごに

 コンセプトが良かったものの駆け足気味の物語が引っかかった前作に対して、今作はストーリーも丁寧に描かれており高評価でした。戦闘と育成をメインに楽しむRPGではなく、少女たちの魅力を堪能するのが中心の作品ですが、2作目ということで期待する部分が明確だったことも評価を引き上げた要因でした。