ジャンル | RPG |
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ハード | Nintendo 3DS |
発売日 | 2017年6月22日 |
発売元 | フリュー |
開発元 | キャトルコール |
公式サイト | リンク |
プレイ時間 | ストーリークリアまで23時間 |
フリューがおくる完全新作RPG「アライアンス アライブ」のレビュー記事です。
9人の主人公を中心とする群像劇を描いた本作。進行によって切り替わっていく主人公や、合流することによって収束していく物語など、壮大なストーリー構成が魅力です。1つ1つはオーソドックスなシステムを、数多く組み合わせて新しい面白さを生み出している戦闘もかなり高評価でした。
文句なしというわけではなく、丁寧に作り込まれた前半のストーリーに対して、合流後~終盤は大ざっぱになっていたことや、ゲームバランスが周回プレイ前提で作られているなど、気になる点も多く存在しました。おかげで1周クリアでは物足りない印象があったものの、総評としては良いRPG作品です。
9人の主人公によって描かれる壮大なストーリー
魔族が張った「大結界」によって、「雨の世界」「燃える世界」といったゾーンに分断された人類の世界。各世界で活動する9人の主人公によって描かれるストーリーが交錯・合流して、大きな物語を作り出していきます。進行によって視点や登場人物が大きく変わるため、特に序盤は目まぐるしく、いずれかの主人公で選んだ選択肢が、他の主人公や合流後の物語に影響を及ぼす仕込みもありました。
一本道のストーリーを進むだけでなく、世界各地にはメインストーリーに直接関係のないイベントポイントや、後々何かありそうなポイントが点在しています。怪しい場所には、必ずと言って良いほど何かが用意されているため、寄り道が無駄になることはありません。パーティーの育成につながる要素も盛り込まれているため、行動範囲が広がるたびに世界を再探索する楽しみが用意されています。
少し気になったのが、合流するまでは細かく作り込まれていた展開に対して、合流後~終盤はかなり大ざっぱなストーリーになっていたことです。因縁のあるキャラクターが大した出番もなく退場したり、意味深なキーワードや発言がほとんど本編に絡まず終わったりなどです。登場人物の多さに対して、寄り道をしながら遊んでクリアまで23時間というボリュームも、短いように感じられました。
膨大な数のシステムを詰め込んだ新しいバトルシステム
ターン制コマンドバトルをベースに、一定の確率で新しい戦技を覚える「覚醒」 戦闘で手に入るポイントを消費して取得する「資質」 ポジションによって様々な効果を得られる「陣形」 戦闘中にゲージがたまると突入する「イグニッション」 武器を犠牲に戦技を放つ「ファイナルストライク」など、本作のバトルには数え切れないほどのシステムが用意されています。
1つ1つはオーソドックスなシステムですが、膨大な数を組み合わせることで戦略性の高いバトルに仕上がっています。覚えて使いこなすまでは大変ですが、システムの多さは育成の幅広さにもつながっており、戦闘を繰り返すだけでキャラクターがどんどん強化されていく面白さが秘められていました。
遊び方の幅広さを演出するギルドシステム
本作の世界には「諜報」「鍛冶」「図書」「印術」「戦術」 5つのギルドが存在します。ゲーム開始時点では、各世界で独立して活動しており、個別に支援を受けることしかできませんが、ストーリーが進行することによって主人公たちが仲立ちとなり、ギルド連合を立ち上げることが可能です。
連合を結成後も各ギルドにはレベルが存在しており、世界中で人材を集めて配属することで、どんどん支援や活動内容が強化されていきます。街で普通に立っている人でも登用できることが多いため、探索の合間に、手当たり次第に話しかけるだけでも期待感があって楽しいです。
得られる支援や活動内容はギルドによって様々で、その効果もレベルを上げることによって向上していきます。各ギルドを平均的に上げていくか、一極集中するかで、プレイの感触は大きく変化。前述したバトルシステムと併せて、遊び方の幅広さを演出するシステムとなっていました。
良くも悪くも1周だけでは楽しみ尽くせないゲーム構成
様々なシステムや育成要素が用意されている反面、1周目をクリアした時点では、ほとんどの要素が中途半端にしか上げられなかったのは残念でした。例え武器を1種類に絞っても、資質を取りきることはできません。ギルドに関しても同様です。それでいて、戦闘は大して苦戦することもなかったので、最初から1周目でやり込むバランスとしては作られていないようでした。
ストーリークリア後も、クリア後要素は一切ありません。それどころか自由行動すらなく、選べるのは2パターンの「強くてニューゲーム(引継ぎ)」のみです。1周目では何も起こらなかったダンジョンや、不明なままになっている点も多く存在するため、2周目を遊ぶことが前提となっています。
RPGとしては比較的短いボリュームで引継ぎも存在するとはいえ、個人的に「やり込み=周回プレイ」のみというのは好ましくなかったです。ストーリーが急ぎ足で大雑把だったことに加えて、満足が行くまで遊び尽くせなかったことから、1周クリアだけでは物足りませんでした。
さいごに
途中までは楽しくプレイしていただけあって、やり込みは2周目からという形式は残念としか言いようがありません。クリア後も自由に世界を探索できたり、2周目を遊びたくなる魅力的要素が用意されたりしていれば話は別ですが、2周目推奨固定では、少し対象ユーザーを絞りすぎだと感じます。
もちろん、引継ぎや追加要素があるならRPGを複数周回するのも楽しめる人は、更に高評価で楽しめるだろう作品です。少し人を選ぶところはありますが、バトルシステムが面白いこともあって、総評としては良いRPGでした。