ジャンル | アドベンチャーRPG |
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ハード | PlayStation Vita Nintendo Switch |
発売日 | 2016年7月28日 |
発売元 | 日本一ソフトウェア |
開発元 | 日本一ソフトウェア |
公式サイト | リンク |
プレイ時間 | ストーリークリアまで13時間 |
ラスボス戦までをダイジェストで振り返るRPG「世界一長い5分間」のレビュー記事です。
魔王を前にして記憶を失った主人公が、これまでの思い出を振り返りながら力を取り戻していくという、一風変わったコンセプトの本作。壮大なストーリーをダイジェストで楽しませる演出や、過去の出来事をやり込むことで強くなっていく「思い出補正」といった、魅力的なポイントが満載の作品です。
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たった5分間で振り返る壮大なストーリー
目の前には魔王。しかし、自分が誰で、なぜここに立っているのかすらわからない状況から始まる物語。主人公は魔王とのバトルを繰り広げながら、様々なきっかけを元に、失われてしまった記憶を思い出していきます。仲間たちとのエピソード、戦う理由、切り札の必殺技など、その内容は様々です。
思い出はチャプター分けされており、断片的に回想が発生します。基本的には普通のRPGのように、敵を倒しながら進んでいく形式ですが、中には瞬間的にフラッシュバックするシーンも存在。魔王との戦いも選択肢によって分岐するため、ただ思い出すだけでなく様々な展開が用意されています。
主人公たちの軌跡は、普通に遊べば数十時間は掛かってしまう壮大なボリュームですが、重要な部分だけを切り取って楽しむことができます。冗長になりがちなレベル上げやお金稼ぎも省略されているため、ダイジェスト化された濃密なストーリーを堪能することができました。
思い出補正によって強化されるユニークな育成要素
既に魔王と戦っている主人公たちにとって、思い出の中で経験値を稼いでも、現実で強くなることはできません。各チャプターのレベルや装備も当時の状態で固定されているため、別のチャプターへ移るとリセットされてしまいます。その代わりに用意されている育成要素が「思い出補正」です。
回想の中で戦いを繰り返したりミッションをクリアしたりするほど、思い出は美化されていき、主人公たちの強さは補正されていきます。これは実際のレベルとは独立した数値となっているため、1度掛かった補正は全てのチャプターに反映されるので、遠い過去から現実まで全ての強さが強化されます。
一見、普通のレベルアップと同じように思えますが、上手く立ち回れば、各チャプター内でのレベル上げや装備強化を最低限に済ませられることが利点です。宝箱の取りこぼしなども気にする必要もないため、サクサクとストーリーを進めていくことが可能になっています。
思い出に散りばめられた様々なミッション
各チャプターには様々なミッションが用意されており、クリアすることで大量の思い出経験値が得られます。本当にやったかどうかは別として、主人公の中でやったことになれば思い出は美化していく、都合の良い展開です。1つ1つにトロフィーも用意されている、メインコンテンツになります。
ミッションの内容はおつかいや人捜しといった定番から、クイズ・ミニゲームなど多種多様。ほとんどは、少し時間を掛ければクリアできるものばかりですが、ミニゲームだけは専用の画面・ルールが用意されており、シンプルだけどハマりやすい内容に熱中して挑戦を繰り返してしまいました。
オート機能とワンボタン全快が快適なバトルシステム
戦闘はオーソドックスなターン制コマンドバトルを採用。特殊なシステムは一切用意されていないので、ふだんからゲームを遊んでいる人なら、説明がなくても楽しめるシンプルバトルです。おおきく4つの方針が用意されたオート機能が用意されているので、雑魚戦は手軽に消化。メニュー画面にはHPが全快するまで回復魔法を使用するボタンが用意されているなど、遊びやすい作りになっています。
ボス戦を含め、バトル自体の難易度は低めに設定されているため、詰まることはなかったですが、中盤以降のダンジョンが少し広すぎるように感じました。エンカウント率が高めに設定されており、十数歩ごとにバトルが発生する仕様も印象に拍車を掛けます。一定時間エンカウントしなくなる魔法は用意されているものの、今度は使う頻度が高すぎて、少し面倒に感じてしまった点は残念でした。
世界一長い5分間に秘められた真実
本作は、5分間で全てを思い出して魔王を倒すだけのゲームではありません。多くの思い出がよみがえってくるにつれて、増大していく現実の違和感。どうして主人公は全ての記憶を失ってしまったのか。思い出した記憶に残る空白部分。それらが1本につながったとき、全てが明らかになります。
残念ながら終盤の内容はどれもがネタバレのため、詳細を記載することはできないですが、熱い展開や感動シーンが満載です。
さいごに
RPGとしてのベース部分は一般的ながらも、回想形式でダイジェストに楽しませるという見せ方で、ありがちな展開すら特別に感じられる演出はとても高評価。『王道が好きだけど、普通の王道ストーリーには飽きた』という、風変わりな王道ストーリーを楽しみたい方には、おすすめの作品です。