【嘘つき姫と盲目王子 | PS4/Switch】評価・レビュー ボリューム不足ながらも満足度は高い童話風アドベンチャー

総評
絵本のように紡がれた、温かくも切ない物語のアクションアドベンチャー。ボリュームと価格のアンバランスが目立つものの、プレイ体験の満足度は高い作品です。
良かったところ
朗読形式の童話風ストーリー
ストーリーと調和したアクションパート
悪かったところ
6,000円を超える高い価格設定
短時間でクリアできるボリューム
3
B
ジャンル アクションアドベンチャー
ハード PlayStation 4
PlayStation Vita
Nintendo Switch
発売日 2018年5月31日
発売元 日本一ソフトウェア
開発元 日本一ソフトウェア
公式サイト リンク
プレイ時間 ストーリークリアまで4時間

 日本一ソフトウェアがおくる、童話風アクションアドベンチャー嘘つき姫と盲目王子」のレビュー記事です。

 絵本のようなグラフィックと朗読形式のストーリーパートが目を引く本作。王子の手を引いて、様々な困難を乗り越えていくアクションパートも特徴的です。2つのパートが見事に調和しており、温かくも切ない物語を、作品全体でじっくりと堪能することができました。

 プレイ体験だけを見れば好感触だったものの、極端に少ないボリュームが評価を難しくしています。ストーリーは4時間程度で終わるため、6,000円を超える価格との釣り合いが取れていません。高くなってしまった要因もハッキリしないため、新作としての購入はおすすめしにくい作品でした。

絵本のように紡がれた化け物と王子の物語

 物語の主役は、美しい歌声を持った化け物と人間の王子です。悲しいすれ違いで王子を傷つけてしまった化け物は、王子の目を治すため、少女の姿で王子の手を引いて魔女の元へ向かいます。自分を姫だと偽る化け物。化け物と知らず姫に心惹かれる王子。2人の結末がどうなるのか、とても気になる物語です。

 ストーリーパートは全編を通して朗読形式となっており、まるで絵本を読み聞かせられるような感覚で楽しむことができます。手書きのような独特のグラフィックや豊富な挿絵と相まって、時には温かく、時には切ない物語の魅力を最大限に引き出していました。

2つの姿を使い分けて進むアクションパート

 アクションパートでは、王子との協力や細かい操作ができる姫の姿と、敵や障害物を排除できる化け物の姿を使い分けながら進んでいきます。王子の手を引いて進む仕様上、ゲームとしては歯がゆいところもありましたが、ストーリーとの調和につながっており、総合的には好感が持てました。

 ステージのギミックや登場する敵は、種類が少なく使い回しが目立っており、中盤を超えた辺りから少し単調に感じた点は残念でした。とはいえ、ちょっとした謎解きや操作量の多いアクション要素も用意されており、飽きさせないための工夫が感じられます。

 アクションが苦手という方でもストーリーを楽しめるよう、本作には「ステージスキップ」も用意されていました。ただし、無条件にスキップできるわけではなく、プレイ開始から10分以上経過したステージでのみ使用できる、クリアできない場合の救済措置になっています。

ステージに点在する2種類の収集要素

 ステージには、2種類の収集要素が存在します。各所に配置された「花びら」を回収することによって、設定画などのコレクションが解放。花畑に咲いている「花」を王子にプレゼントすることで、物語を補完するサイドストーリーが閲覧できるようになります。

 見つけやすい物から巧妙に隠されている物まで、収集要素が置かれている場所はステージによって様々です。収集状況の一覧やステージセレクト機能が用意されているため、1周目は取りこぼしをあまり気にせず、メインストーリーに集中できたのは、うれしい配慮でした。

短時間でクリアできる極端に少ないボリューム

 アクションやパズルに慣れていれば、ストーリークリアまで4時間程度だったので、あっという間に終わったという印象が強いです。決して物足りない内容ではなかったのですが、6,000円を超える価格設定に対して、ボリュームは全く釣り合っていません。

 収集要素のコンプリートまで含めれば、1~2時間はプレイ時間が伸びるものの、それでもボリュームは不十分です。特に豪華なコンテンツが用意されているわけでもないため、どうして高い価格設定になってしまったのか、今ひとつ納得できませんでした。

さいごに

 プレイ体験だけなら、満足度は高い作品です。しかし、これまで遊んできたゲームの中でも1.2を争う価格とボリュームのアンバランスに、良作として挙げるには強い抵抗を感じました。購入される場合は、売却を視野に入れてのパッケージ版か、価格が下がるのを待つのがおすすめです。