【シルヴァリオ ヴェンデッタ】評価・レビュー

良かったところ
悪かったところ
3
B

成人向けゲームのレビュー記事になります。内容に直接的な18禁要素は含まれていませんが、18歳未満の方は公式サイトへの遷移などに注意してください。
ジャンル アドベンチャー
ハード Windows
発売日 2015年2月27日
発売元 light
開発元 light
公式サイト リンク

 “勝利”からは逃げられない. さあ、逆襲《ヴェンデッタ》を始めましょう。Lightがおくる、敗者の物語「シルヴァリオ ヴェンデッタ」のレビュー記事です。

 マルチエンディングによる個別ルートの作りに違和感があったものの、全体の構成やコンセプトは秀逸。敵は英雄・絶対的な正義に対して、どこまでも敗者の逆襲を描き続けるストーリーは、自分にとって目新しく映りました。

選択肢は控えめのマルチエンディング構成

選択肢

 序盤に分かりやすいルート分岐が用意されている以外、選択肢はありません。個別ルートに入った後は、クリアするまでクリックで読み進めるだけになるため、ADVとしてのゲーム要素はかなり薄かったです。またプレイヤーに与える情報の順番を操作するため、特定キャラのルートは制限されている部分が存在しました。

単独では情報不足だらけになってしまう個別ルート

アスラ・ザ・デッドエンド

 ヒロインごとに独自のストーリーが展開。それぞれ特定のキャラクターを掘り下げる構成となっているのですが、”あったかもしれない”ifストーリーというよりは、全く別世界のようなアナザーストーリーでした。ルートによっては、重要な部分がうやむやのままハッピーエンドを迎えるなど、少し違和感を抱いてしまいます。

 また、最初は制限されている最終ルートでは、別ルートで基礎知識を仕入れている前提で物語が進行。プレイヤーの視点として裏事情を知っているものの、省略されてしまうと重みの足りない部分が多かったです。そのせいで面白いと感じたところが分散してしまい、ルートごとの評価が今一つに感じてしまったのは残念です。

非の打ち所がない絶対的な正義との相対

ヴァルゼライド

 公式でも「これは英雄の物語ではない」と書かれている通り、どこまでも輝かない主人公。よって正義の味方らしい展開は相手にこそ用意されており、からめ手で対抗する戦いの連続です。敵の正義が最後までブレず、中途半端に主人公を”正義”に置き換えない徹底した展開は、余りにも潔くて好印象でした。

お気に入りはヒロインでチトセさん。サブキャラでルシード

チトセ もう一度私のものになれ

 主人公に片目をえぐられた上、ツンデレで独善元上司とか堪りません。挙げ句、その片目が決戦兵器とか、どれだけ魅力を詰め込む気でしょうか。と言う訳でチトセさん良かったです。別ルートでも目立っていたし、サヤとの主従関係も含めてお気に入り。次点でヴェンデッタの毒舌にゾクゾクと来てしまいました。

 男性陣はどいつもこいつも癖の強いのばかりでしたが、なかでもドMで親友ルシードが変態なのに格好良かった。永遠に良いやつポジション。画像のマルス発言は、ヴェンデッタと同じく、的を射すぎていて画像をチョイスせざるを得ませんでした。想像してみると、確かに満更でもないですね。

さいごに

ゼファー 邪魔なおまえは殺して捨てると決めている

 レビューを書いてみて、主人公自身のことに全く触れることがありませんでした。もちろん魅力がなかった訳ではありません。しかし、敵や周りの輝きが強すぎた印象です。おかげでクリア後にスクリーンショットを見直してみても、ネタバレ抜きで使える画像がほとんどないという、本作らしいオチがありました。