【FINAL FANTASY XV(ファイナルファンタジー15) | PS4】評価・レビュー

総評
高いクオリティの映像と世界観がすばらしいRPG。しかし、メインストーリーに粗が目立つことに加えて、ダイジェスト版かと感じるボリューム不足で、遊びとして楽しむのは今ひとつの作品です。
良かったところ
旅路を演出するゲームサイクル
豊富に用意されたサイドクエスト
自由度の高いアクションバトルと育成要素
悪かったところ
支離滅裂なダイジェストストーリー
アバウトに設定されたゲームバランス
グラフィックやイベントに関わる各種不具合
3
B
ジャンル RPG
ハード PlayStation 4
Xbox One
発売日 2016年11月29日
発売元 スクウェア・エニックス
開発元 スクウェア・エニックス
公式サイト リンク
プレイ時間 ストーリークリアまで21時間

 広大なオープンワールドを旅するファイナルファンタジーシリーズ最新作FINAL FANTASY XV」のレビュー記事です。

 高いクオリティの映像と、ゲーム内外のコンテンツによって作り上げられた世界観がすばらしい本作。仲間との旅や共闘をサイクルに組み入れたゲームシステムによって、いつまでも遊び続けられそうな面白さを秘めています。しかしながら、メインとなるストーリーには粗が目立つことに加えて、ダイジェスト版かと感じるボリューム不足のため、普通のRPGとして楽しむ分には今ひとつの作品でした。

支離滅裂なダイジェストメインストーリー

 オープンワールドにコンテンツを詰め込んだ結果、ディスクの容量を使い切ってしまったなどの事情もあるのかもしれませんが、幾ら何でも足早すぎる展開だと感じました。後半になるほど物語は加速していき、あっという間に終わってしまいます。主人公たちにとっては数週間、数年間のときを経たシーンでも、プレイヤー視点では数十分、数時間でしかないため、イベント自体も心に響きません。

 敵味方、多数のキャラクターが登場するものの、その大半が使い捨てのような扱いだった点も気になりました。ストーリーの先でイベントが用意されていかと期待していたら、ほとんど主人公たちと会話もなく舞台から消えたキャラクターも多かったです。普通ならストーリーに組み込まれるべきイベントが、寄り道扱いで無視して進めるなど、省略されていると感じる部分は他にも多々ありました。

 悠長に旅する主人公。その都合に合わせて一貫性のない敵の行動。当たり前のように過去へ戻ってやり残したクエストを遊べる。それらの事象に余り疑問を抱かない登場人物たちなど、他にも突っ込みどころが満載。細かいことを気にしたり、メインストーリーだけを目当てに遊ぶと、あまり楽しむことができません。

オープンワールドに配置された膨大な寄り道コンテンツ

 本作には、オープンワールドを活かしたサイドクエストが豊富に用意されています。その内容は多岐に渡り、お使いやモンスター討伐、ミニゲームなど様々です。主人公たちの状況は気軽に寄り道をしている場合ではないとはいえ、経験値や資金稼ぎを行える重要なコンテンツとなっていました。全てをクリアするためにはメインストーリー以上に時間が必要そうな、やり込み要素も兼ねそろえています。

 道路が続いているところまでは車で移動、険しい道はチョコボに乗り継ぐ移動手段の使い分け。日が落ちて強敵が徘徊するようになったらキャンプを張って朝を待ち、食事によるステータスブーストや経験値をレベルに変換する1日のサイクルなど、旅路らしさの演出も満載。長距離移動をスキップせずに、ただ移動し続けるだけでも、たくさんの発見があって楽しいと感じる魅力がありました。

自由度の高いアクションバトルと育成要素

 リアルタイムで4種類の武器や魔法を切り替えながら戦える戦闘は、育成要素を含めて、かなり自由度の高いシステムになっています。持っている武器やアビリティによって攻撃方法が変わることはもちろん。主人公の行動や指示に合わせて戦ってくれる仲間たちの存在と、シフトによる短距離ワープやファントムソードによって、手軽に爽快感のあふれるアクションバトルを楽しむことができます。

 ポイントを消費して取得するアビリティは系統ごと分かれており、取得する組合せによって戦闘は大きく変化します。主人公を中心に強化して先陣を切ったり、仲間のコマンドを強化して指示を出してたりと、自分好みのプレイスタイルにパーティーをカスタマイズすることが可能です。

もう少し調整してほしかったと感じるゲームバランス

 高評価で前述したアクションバトルですが、全体的に難易度は低いように感じられました。回復手段が数多く用意されている中、アイテムによる回復が全て割合回復ということが原因です。序盤はまだしも、中盤以降は資金が余ってくるため、買い込んでおけば湯水のように使えます。よほどの無理をしない限り倒れることはないので、多少格上の相手だろうとゴリ押しで勝つことが可能です。

 逆に、アビリティ取得要素は必要なポイントがアバウトに設定されており、ストーリーをクリアした時点で半分も取得できていなかったのは、せっかくのシステムがもったいないと感じました。高性能なアビリティほど必要なポイントが多く、上位アビリティの多くが数百ポイントで取得できるポイント量と釣り合っていません。1つの系統を育てきるだけでも、やり込みに相当していました。

さいごに

 豊富なサイドクエストやアクションバトルといった点は高評価でしたが、ベースとなるメインストーリーが微妙だったことに加え、発売前の期待が大きかったことから、満足とはいいにくいです。本筋がキチンとしていてこその、やりこみ要素やゲームシステムだと考えているので、もう少しストーリーもしっかり作られていればと残念に感じる作品でした。