【アルノサージュ】評価・レビュー ※ネタバレ注意

総評
独創的な要素が詰め込まれた意欲作。好みが合えば、他のタイトルでは味わえないような体験ができる作品です。
良かったところ
画面の向こうを意識させる様々な作り込み
アルノサージュ版ネロがかわいい!
悪かったところ
他作品との世界観リンクが多い
モブの種類が少なく、メインキャラ以外は同じ人ばかり
ゲーム外の連携が上手くいかない場合は未完結のまま終了
3
B
ジャンル 7次元RPG
ハード PlayStation3
PlayStation Vita
発売日 2014年3月6日
発売元 ガスト
開発元 ガスト
公式サイト リンク

 この作品にプレイヤーとゲームの境界線は有りません。同シリーズの「シェルノサージュ」がVitaを通じて7次元先のイオンちゃんとコミュニケーションを図る作品なら、本作はPS3を通じて7次元先の世界に介入する作品です。画面と言う物理的な壁は有っても、第四の壁は破られていました。

“そういうゲーム”だと割り切ってしまえばおしまいですが、作品に感情移入しやすい人がプレイすると、ゲームがゲームでは無くなってしまいます。かなり挑戦的な仕込みも数多く用意されており、一般的なゲームの常識を逸脱している問題作です。

「7次元先の世界と繋がっている」を意識させる様々な作り込み

 自身のアバターとデルタ、2つのチャンネルを操作して進めるザッピング形式を採用していますが、決してデルタ=プレイヤーでは有りませんでした。主人公であるデルタには独立した意思が存在し、操作されることに対する状況や心境を吐露したりプレイヤーに抗うなど、ゲームとしては衝撃的な展開の連続です。

 ザッピング形式では定番の、複数視点で得た情報を統合してストーリーを進める行為も本作では決して「物語外の視点」では無く、プレイヤーを通じて情報が共有されている事をキャラクター側も認識。更に、情報共有を活用するように向こう側から示唆されるなど、徹底してプレイヤーは”プレイヤーと言う存在”として扱われていました。

1人のプレイヤーとして試される「ジェノメトリクス」攻略

 心の内面に触れるジェノメトリクスでは、プレイヤーが1人の人間として扱われているが故に、ドキッとするような生々しい言葉を投げかけられたり、難しい選択肢を迫られる事が多かったです。1年以上も連れ添ってきたイオンちゃんから厳しい台詞が飛び出すと、それはもう胸がえぐられているような気持ちになってしまいます。

 もちろん何度でもトライできる世界なので、決断を迫られるという点では完璧な臨場感には程遠い。そんな風に油断していると、何度もやり直していることに対して言及されるなど、イオンちゃんの本音は容赦がないです。全ての試練を乗り越えることで初めて本当の明るい世界に辿り着くわけですが、それはもう厳しい道のりでした……

届かなかった最後のボイスメール

 ゲーム外で送られてくるボイスメールで最後の完結するという、最後まで挑戦的な姿勢を崩さない本作。しかし、何らかの理由でボイスメールが届かなかったり、そもそもゲームとGUST IDをリンクしていなければ受け取れないまま未完結のように感じてしまう問題がありました。

 私の場合、シェルノサージュもプレイしてセカイリンク済。製品版で真エンディングを迎えたのにボイスメールは届かないと言うパターンでした。幸い、他の方に教えていただき、クリアした知り合いにボイスメールを聴かせてもらって補完しましたが、ゲーム外完結という性質上、気付かなければそのままになってしまうため、その辺りをカバーする仕組みを何か考えて欲しかったと強く感じました。