【絶対迎撃ウォーズ | PS4/Vita】評価・レビュー アクション要素を組み込んだタワーディフェンス系作品

総評
タワーディフェンスとアクションを組み合わせた新ジャンルタイトル。難易度調整に少し不満があるものの、ロマンあふれる巨大な「絶対迎撃兵器」や個性豊かな20人のキャラクターなど、魅力的な要素が満載の作品でした。
良かったところ
個性的で魅力溢れるキャラクターたち
タワーディフェンスxアクションの上手い融合
悪かったところ
自由度を制限する形の難易度調整
物足りない終盤~クリア後のコンテンツ
3
B
ジャンル 都市防衛アクション
ハード PlayStation 3
PlayStation 4
PlayStation Vita
発売日 2015年7月2日
発売元 アクワイア
開発元 アクワイア
公式サイト リンク

 アクワイアから発売された都市防衛アクション絶対迎撃ウォーズ」のレビュー記事です。

 4層の環状に配置した兵器「リングフォースシステム」を駆使して、全方向から迫りくるエネミーを迎撃する、アクション要素を組み込んだタワーディフェンス系作品です。プレイヤーが自分で照準する「絶対迎撃兵器」や個性豊かな20人のキャラクターなど、豊富な魅力が用意されていました。

 ずっと同じシステムで遊び続ける都合上、中盤辺りから縛りプレイに近い難易度調整が存在。全ての兵器が開発される頃には戦う相手がいない終盤のコンテンツ不足など、物足りない部分も目に付きました。しかし、これは『楽しかったからこそクリア後も遊べる要素が欲しかった』という裏返しで、惜しいながらも評価は高い作品です。

臨機応変の判断を求められる都市防衛アクション

絶対迎撃ウォーズ オペレーター通信

 様々なエネミー構成やボスが用意されているものの、基本は”出てくるエネミーを倒し続ける”だけです。それが100戦以上も続くため、単調になってしまわないよう、ミッションの事前情報は最低限しか得ることができません。主力として登場するエネミーの種類くらいです。ボスですら、特定条件下で確率出現するようになっています。つまり、プレイヤーに求められているのは、いかなる状況にも対応できる判断力でした。

 8種類の基本エネミーに加えて、同時に倒さなければ相互に回復するリザレクションタイプ。他のエネミーを堅くするシェルタイプ。通常よりも強力な大型タイプなど、様々な亜種が登場。ミッションによっては、ほぼ0距離に出現したり、全方向から同時に攻めてきたりするので、全く油断ができません。

 それに対して防衛側にも6種類の兵器が登場。それぞれ特徴的な性能が割り振られており、欠点を補い合えるように配置して戦うことになります。状況に合わせて切り替えられる「絶対迎撃兵器」や、同じ種類の兵器を並べることで強化・高得点を狙える「合体兵器」といった要素も用意されており、兵器建築を行うタワーディフェンス要素と、実際に操作するアクション要素がうまく融合しています。

自由度が制限されることで難しくなっていく難易度調整

絶対迎撃ウォーズ 射程制限

 ストーリーが進むにつれて、複数の都市を防衛することになる本作。都市を移動してもやることは変わらないので、敵の攻撃力や耐久力と併せて、建築可能範囲の広さで難易度調整が行われます。具体的には、あとから出てくる都市ほど使いにくいです。工夫しても同時に2方向しか合体兵器を撃てない都市など、ちょっとしんどかったです。

 射程距離が制限されてしまう都市や回転出来ないリングが存在する都市も登場して、どんどん味方の戦力が弱体化していきます。少しくらいはマンネリ回避で良かったのですが、中盤はずっとこの調子で縛りプレイを強要されている気分になってしまい、余り楽しくはありませんでした。

封鎖区画が解放されることによって初めて味わえる爽快感

絶対迎撃ウォーズ 全方位ミサイル発射

 前述した制限は最後まで続くわけではなく、あるイベントを切っ掛けに区画が解放されます。以降は全都市で自由に建築できるようになるため、それまでのストレスを思う存分にエネミーに撃ち込めるようになりました。私はミサイルをメインに使っていましたが、全方位から同時に攻められても、街中からミサイルが射出されて迎撃してしまう光景は痛快です。

寄せ集めの部隊が世界を救うストーリー

絶対迎撃ウォーズ #16 極東は死地へと

 合計18人のオペレーターと司令官(=プレイヤー)の物語は、独特の防衛アクションと並んで魅力的でした。それぞれ個性豊かな設定が用意されており、様々な場面で発動するスキル効果と連動している点からも、作り込みを感じ取れます。ストーリーが進むたびに発生する掛け合いは、ゲームを進める上で楽しみの1つでした。

あっさりと終わってしまう内容から感じる物足りなさ

絶対迎撃ウォーズ 過剰戦力

 キャラクターの魅力もあって楽しめたストーリーですが、残念ながら終盤の展開は少し盛り上がりに欠けていました。ノーマル難易度では、封鎖区画の解放によって過剰戦力となるため、エネミーの強さが肩透かしだったことも要因です。アクションやタワーディフェンスが得意な方は、最初からハードモードで遊ぶくらいで良いかもしれません。

 追加要素もないため、クリア後はトロフィー目的に防衛を繰り返すしかやることがなかったです。クリア時点で未開発の兵器を完成させても、それをぶつける相手が存在しない状況でした。せっかくなら、極端に偏ったエネミー構成やボスラッシュなど、試行錯誤しなければ勝てないような特別ミッションも用意してほしかったです。

さいごに:DLCで追加ミッションに期待したい

 不自由を増やして調整する難易度や、そこから解放された楽しみを、存分に堪能する前に終わってしまう部分が主な不満点でした。ゲームとしてはシンプルながらも良く出来ていたので、クリア後も楽しめるコンテンツが用意されていれば、評価は大きく変わっていたと思います。可能かどうかはわかりませんが、DLCで高難易度ミッションが配信されれば良いなと期待してしまう作品でした。