【勇者死す。 | Vita】評価・レビュー コンセプトだけは面白い手探りRPG

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総評
かなり独特なゲームシステム・コンセプトが特徴のRPG。ストレスや面倒に感じる部分が多く、ストーリーと併せて、かなり好みが分かれる内容の作品です。
良かったところ
独特のゲームデザイン・コンセプト
悪かったところ
回避不可のシンボルエンカウント
会話・イベントのスキップ機能がない
複雑すぎるフラグ管理と手探りの攻略
1
C-
ジャンル RPG
ハード PlayStation Vita
発売日 2016年2月25日
発売元 日本一ソフトウェア
開発元 ピラミッド
公式サイト リンク
プレイ時間 1周目クリアまで2~3時間

 PS Vita版としてフルリメイクされた、終わりから始まるRPG勇者死す。」のレビュー記事です。

 かなり独特なゲームシステム・コンセプトが特徴となっている本作。ストーリーと併せて、かなり好みが分かれる内容となっています。私はケータイアプリ版を未プレイだったため、リメイクをきっかけにプレイしてみたものの、ストレスや面倒に感じる部分が多くて今ひとつの評価でした。

勇者の死から繰り返される5日間のストーリー

勇者死す。 特別な五日間

 魔王との決戦から始まる物語は、プロローグからクライマックスです。死んでしまった勇者は、神様から5日間の命をもらい、勇者と魔王のいない世界を自由に冒険することができます。たくましかった勇者も、余命が短くなるとともに衰えていき、期日が訪れると息を引き取って葬儀が行われて終了です。

 5日間の行動によって葬儀内容が変わり、特定のフラグを立てると次周に変化が発生します。豊富な数のイベントが用意されていることに加えて、ランダムに発生する物も多いです。街やダンジョンの数は少ないものの、全く同じ5日間を繰り返すのは、狙っても難しくなっています。

一般的なRPGジャンルとはかけ離れたゲームデザイン

勇者死す。 ワールドマップ

 最初から最強装備を持っており、敵を倒しても成長することはなくステータスは下がる一方です。仲間も5日間が終わるとリセットされてしまうため、普通のRPGが持っている「育成」や「装備集め」といった楽しみは存在しません。プレイヤー自身が工夫や攻略方法を見つけて成長するゲームです。

 慣れるまでは、弱体化に攻略ペースが追いつかずに、何もできないまま終わってしまうこともあります。しかし、効率的に動けば1日目でキーアイテムやフラグの回収を済ませることも可能です。繰り返しで学び、最短手順で進めていくプレイは、どこかアドベンチャーやパズルに近い印象を持ちました。

複雑すぎるフラグ管理とエンディングまでの長い道のり

勇者死す。 新しい五日間

 本作には、プレイヤーの誘導やヒントが最低限しか用意されていないため、ほとんど手探りで攻略することになります。前周回の行動だけでなく、連れている仲間によってもイベントが変化するため、条件の組合せは膨大です。フラグの達成状況も確認できないので、進み具合も分かりにくかったです。

 私もエンディングまではたどり着いたものの、どこまでが必要なフラグだったのかわからずじまい。選択肢を1つずつ潰して、発生したイベントは全てクリアしていき、何とか終わりました。クリア条件の厳しい中盤に対して、終盤はあっさりしているので、余り「達成感」が湧かなかった点も残念です。

もう少し気持ちよく周回できる工夫が欲しかった

勇者死す。 葬儀リプレイ

 自由に5日間を過ごせるとはいえ、気楽に遊んでいてはいつまでもクリアできません。リメイクでボリュームは約2倍になったのに、誘導やシステムは据置きのため、見落としや思い込みがあると詰まりがちな構成でした。トロフィー情報や攻略サイトを見ずにクリアを目指すなら、根気は必須装備です。

 ストーリーが大きく変化する部分は限られており、周回を繰り返すうちに、同じイベントを何度も見ることになります。しかし、会話やイベントスキップ機能は用意されていません。既読イベントを毎回手動で飛ばすのは面倒なだけでなく、細かい変化を見逃してしまう要因にもなっています。

 育成要素が乏しく、戦闘を避けたい仕様なのに、回避できないシンボルエンカウントも気になりました。かといって、レアアイテムを目当てに戦うと、今度は低ドロップ率に泣かされます。こういった不満が積み重なることによって、作業感やマンネリズムが強くなり、やる気がそがれていきました。

さいごに

 ブログ・レビューのために頑張ろうというモチベーションがなければ、積んでしまうか攻略情報待ちが濃厚な作品でした。私の感想や評価をまとめてレビューを書きましたが、クセが強く、合う合わないが大きいので、迷っている方は体験版のプレイを推奨です。1周目を最後まで遊べるため、ゲームのコンセプトに触れることができます。周回要素は製品版にお預けですが、基本はほとんど変わりません。