【TINY METAL(タイニーメタル)】評価・レビュー シンプルに面白いが飽きるのも早い戦略SLG

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総評
戦略シミュレーションとして面白いと感じる要素が揃っているものの、膨大なステージ数に対して変化の乏しいゲームデザインなど、不満点も多く挙げられる惜しい作品です。
良かったところ
フルボイスのストーリー
多彩なユニットによる戦略性
視界を制限するフィールドギミック
悪かったところ
お粗末な敵軍のAI
水増しされているボリューム
飽きるのが早いゲームデザイン
ジャンル シミュレーションゲーム
ハード PlayStation 4
Nintendo Switch
Steam
発売日 2017年12月21日
発売元 AREA 35
開発元 AREA 35
公式サイト リンク
プレイ時間 ストーリークリアまで10時間

 3Dグラフィックで描かれた、懐かしのターン制ストラテジーゲームTINY METAL(タイニーメタル)」のレビュー記事です。

 豊富な種類のユニットを駆使した、骨太の戦闘が魅力の本作。偵察と索敵がカギを握るフィールドギミックや、ステージをまたいで活躍するヒーローユニットの存在など、戦略シミュレーションとして面白いと感じる要素が多かったです。フルボイスで展開されるストーリーも好印象でした。

 しかしながら、膨大なステージ数に対して変化の乏しいゲームデザイン。ストーリーキャンペーンのボリューム水増し。手ごたえを感じない貧弱な敵軍AIといった、不満点も多く挙げられます。ベースは良くできているので、もう一工夫用意されていればと残念に思える作品でした。

多彩なユニットを駆使して戦う戦略シミュレーション

  • TINY METAL ミッション画面
    ミッション画面

 ライフルマンから大型戦闘機まで、様々な特性を持った全15種類のユニットが登場。初期戦力に加えて、工場やヘリポートで生産ができるため、戦況に合わせて臨機応変に立ち回る必要があります。行動によって獲得した経験値で強化される「階級システム」や、疲弊したユニットを回復することも可能で、戦略の幅はかなり広いです。

 ユニット同士の戦闘は、事前に与えられるダメージを確認できる仕様です。乱数要素が少ないので、あまり運に左右されることなく作戦を組み立てることができます。側面・背面からの攻撃や、複数ユニットによる一斉射撃を駆使して、なるべく反撃を受けないように撃破していくのが攻略のカギでした。

 生産可能なユニットとは別に、ユニークな性能を持ったヒーローユニットも存在します。1つの司令塔から1度のみ配置可能で、フィールドの好きな場所へ直接呼び出せるため、即応力が高いです。また、ヒーローユニットは階級システムを他のステージへ持ち越せるので、使い続けることで成長する育成要素も備えていました。

偵察と索敵が重要となる瘴霧に覆われたフィールド

  • TINY METAL 瘴霧に覆われたフィールド
    瘴霧に覆われたフィールド

 戦場となるフィールドは、全体が瘴霧に覆われた状態からスタートします。未偵察のグリッドは、敵のユニットどころか地形さえも確認できません。本隊が進軍するのに先駆けて、偵察車両など視認距離・移動可能距離の広いユニットを進めて、早めの確認が重要になっていました。

 確認済みのエリアでも、自軍ユニットの視認範囲に含まれていなければ敵ユニットが見えない仕様は、かなりシビアです。ほとんどの戦闘ユニットは、視認距離が2~3マスと狭いので、うかつに進むと想定外の伏兵に苦しめられました。場合によっては、戦力を捨て駒にしてでも強引に偵察を行うことが、長期的に見ると有用といった場合もあります。

 ユニットの中には、索敵に特化したレーダー車両や早期警戒管制機も用意されています。攻撃能力はないものの、広い索敵範囲を持っており、視認距離外の敵ユニットにマーカーを付けることが可能です。間接攻撃能力を持ったユニットと組み合わせれば、前線や遮蔽物を飛び越えて一方的に攻撃できるため、戦略の幅を広げるのに、一役買っていました。

骨太の戦略性に対してお粗末な敵軍のAI

  • TINY METAL 速攻からの時間稼ぎ
    速攻からの時間稼ぎ

 戦闘ユニットの特性や、偵察・索敵が重要となるフィールドは高評価だったのですが、敵軍のAIが貧弱だったのは残念でした。特に、収入源や生産拠点となる建物の占拠が重要となる本作において、こちらが近づくと占拠より戦闘を優先する辺りが致命的です。公平な条件のステージなら、速攻からの時間稼ぎで注意を引いている間に、占拠・生産をすれば、あっという間に戦力差が付いてしまいます。

 直接戦闘においても、AI側は各種アクションを使いこなせていない感じが強かったです。操作の手間を考慮しない多彩なユニット運用や、側面・背面攻撃を積極的に行ってくる点は脅威だったものの、散発的な攻撃が多くて、一斉射撃を活用してきません。先制攻撃を受ける代わりに、相手ユニットを1マス移動させる「突撃」も使ってこないなど、プレイヤー側が有利すぎると感じる面が多かったです。

フルボイスで展開されるストーリーキャンペーン

  • TINY METAL ストーリーキャンペーン
    ストーリーキャンペーン

 全19ステージ構成のストーリーキャンペーンでは、若き将校となって、仲間たちとともに様々な戦場を転戦していきます。ステージ間のやり取りだけでなく、戦闘中に発生する会話まで、しっかりとフルボイスです。盛り上がる場面では、専用の3Dアニメーションも用意されています。少し強引な展開や不明瞭な箇所があったものの、不満というほどではありませんでした。

 前述したように、敵軍のAIが弱いため、ストーリーの難易度は控えめです。ただし、1周目をクリアすることによって解放される「ニューゲームプラスモード」では、公平な戦闘とは言えないほど敵戦力が強化されています。速攻を行うことができず、総力戦になりがちでした。難易度だけでいえば、1周目はチュートリアルで、2周目からが本番です。

1周目をクリアして感じた期待外れと水増し感

  • TINY METAL 1ステージ約25分
    1ステージ約25分

 公式サイトなどで『ストーリーモードは約20時間』という触れ込みだったのですが、実際にプレイしてみると10時間ほどでクリアとなりました。途中から進行速度やアニメーションの設定を高速化したとはいえ、半分まで短縮したとは思えません。そもそも、全19ステージで20時間では、1ステージ平均1時間以上の計算です。お粗末なAIに真っ向勝負を挑んだとしても、ボリュームを盛りすぎです。

 隠しステージやヒーローユニットの解放が行われる建物、「ラボ」の存在も腑に落ちません。見逃せない重要な要素でありながら、前線から遠く離れた僻地に建っている場合が多く、フィールドを隅々まで探索するのに、それなりの時間が必要です。しかも、敵を全滅させるとクリアになってしまうため、戦闘能力を持たないユニットを残して、無力化・放置してからの探索作業になります。

 20時間と謳われていたのに、プレイしてみると半分のボリューム。しかも、その10時間というプレイ時間すら水増しされていた感触で、あまり良い印象を持ちませんでした。

全56ステージ構成の豊富なスカーミッシュ

 スカーミッシュは、5段階のマップサイズが用意された50種類を超えるチャレンジマップです。最大で4勢力が入り乱れる戦闘は、司令部の占拠による敵戦力の鹵獲や、Giantサイズのマップで展開される総力戦など、ストーリーキャンペーンとは違った面白さを秘めていました。単純にステージ数がストーリーの2倍以上というだけでも、やり込み要素としては十分な内容です。

シンプルに面白いが飽きるのも早いゲームデザイン

 ストーリー・スカーミッシュに共通して言えることですが、勝利条件が「敵の全滅」もしくは「敵司令部の占拠」しか用意されていなかったのは、マンネリにおちいる要因でした。ターン制限などの条件もないため、大きな視点で見ると、ステージが変わってもプレイヤーの取る行動は毎回同じです。

 ストーリーを1周クリアするまでは楽しめていたものの、スカーミッシュをいくつかクリアして、「ニューゲームプラスモード」の途中まで進めたあたりで飽きてしまいました。シンプルな面白さは悪くないものの、スカーミッシュを含めるとステージ数が多いので、もっと戦場にバリエーションを用意してくれれば、長く楽しめたのではないかと思います。

DLCによるマルチプレイと追加ミッションを配信予定

  • マルチプレイヤー近日解禁

 発売時点では開発途中とされているマルチプレイですが、無料DLCとして配信が予定されています。協力プレイか対戦なのかは不明ですが、遊びの幅は大きく広がりそうです。また、追加ストーリーとミッションもDLC第2弾として配信されるので、前述した不満点の打破につながるかもしれません。ただし、第2弾には無料との記載がないことから、有料だった場合は、購入に悩んでしまうところです。

 「METALPEDIA」と呼ばれるゲーム内図鑑と実際のユニットにおいて、ほぼ全ユニットの性能が間違っている。条件を満たすと確定でエラー落ちが発生する。といった不具合も見受けられるため、購入を迷っている方はDLCやパッチが配信されてからでも遅くはないかもしれません。

さいごに

 ゲームとしてのベースは面白かったので、飽きさせない工夫がもう少し用意されていれば、評価が変わったのではないかと思います。ストーリーのボリュームについても、20時間アピールがなければ、スカーミッシュの物量や「ニューゲームプラスモード」に紛れて、気にならなかったかもしれません。改めて見直すほどに、いろいろ惜しかったと感じてしまう作品でした。