【ルフランの地下迷宮と魔女ノ旅団 | PS4/Switch】評価・レビュー 異彩を放つダンジョンRPG

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総評
壁を壊して進めるなど、色々と規格外だらけのダンジョンRPG。覚えきれないほどのゲームシステムが用意されており、ダークなストーリーと相まって、一風変わったダンジョン探索を思う存分に楽しめる作品です。
良かったところ
最大40人のパーティーメイク
壁を壊せる規格外な迷宮攻略
覚えきれないほど豊富なゲームシステム
悪かったところ
人数が増えるほど時間のかかる戦闘スピード
かゆいところに手が届かないマッピング
5
A+
ジャンル RPG
ハード PlayStation 4
PlayStation Vita
Nintendo Switch
発売日 2016年6月23日
発売元 日本一ソフトウェア
開発元 日本一ソフトウェア
公式サイト リンク
プレイ時間 ストーリークリアまで38時間

 魔女ノ旅団を率いて地下迷宮を攻略するダンジョンRPGルフランの地下迷宮と魔女ノ旅団」のレビュー記事です。

 アタッカー・サポーターを合わせて最大40人のパーティーを筆頭に、覚えきれないほどのゲームシステムが用意されており、要素が膨大に詰め込まれている本作。慣れるまでは少し苦労する内容となっているものの、じっくり遊べば自分好みのパーティーでダンジョン攻略を楽しめる作品です。

 かわいい絵柄とは裏腹に、かなりダークなストーリーです。オートマッピングだけでは追いつかない複雑なダンジョン構成と併せて、余りライト層向けとは言いにくいですが、一風変わったダンジョンRPGを思う存分に楽しみたい人におすすめでした。

一癖も二癖もあるキャラクターぞろいのダークストーリー

 ボリュームの大半は迷宮攻略に当てられているので、ストーリー自体の分量は少ないものの、内容はかなり濃い物が用意されていました。登場するキャラクターたちも変わり者ぞろいで、決して幸せな展開ばかりではないため、かなり人を選ぶであろうダークストーリーが展開していきます。

 イベントスチルがほとんど存在せず、立ち絵による会話が中心となっているので物足りない印象もありましたが、クオリティは期待以上の内容でした。主要キャラクターであっても容赦のない展開など、プレイヤーを不快に感じさせることまで含めたストーリー作りに、強いこだわりを感じました。

最大40人の旅団を編成して挑む地下迷宮

 プレイヤーが率いる旅団は5つの「カヴン」と呼ばれる集団で構成されており、それぞれのカヴンに最大でアタッカー3人、サポーター5人を編成することができます。それらを併せた40人の旅団が、一般的なRPGで言うパーティーに当たります。メイキングから戦闘まで、かなり戦略性の高い要素です。

 人数が多いからと言って1キャラクターごとの育成が適当と言うこともなく、細かいキャラクターメイクが用意されています。8種類のファセットと各3種類のビジュアル、成長に関わる設定項目など、1体作成するだけでも悩ましいくらいです。じっくり作り込んでいくと、時間が幾らあっても足りません。

 40人は多すぎると感じた場合は、アタッカーの人数が少ない代わりにサポート強化が強力な構成も可能になっているため、少ない人数で攻略を目指すことも可能。もちろん、序盤に作成した愛着あるキャラクターを新たな素体に移して、強化して育て直すシステムも用意されているので安心です。

詰め込みすぎなくらい膨大なゲームシステム

 パーティーメイクだけでも大変なボリュームですが、その周りを彩るゲームシステムも豊富です。アイテムの合成やハック&スラッシュ要素を備えた鑑定、迷宮内で集めたポイントを用いて新しい要素を解放するなど、とにかく思いつくシステムは全て詰め込んだと言う印象です。

 戦闘中、味方や敵の部位が破壊されて制限が発生する「ゴアクリティカル」 カヴンごとの前衛後衛の組合せによって効果が変化する「陣形」 プレイヤーが所持しているポイントを消費して人形の強化や様々な効果を発揮する「リインフォース」と、挙げていくときりがありません。

 ストーリーに合わせて少しずつ解放されていくため、中盤くらいまで新要素が出続けるので、矢継ぎ早に増えていくシステムに、少し戸惑う時期もありました。とはいえ、長く続く迷宮攻略のマンネリ回避に一役買っており、使いこなせば戦い方も広がることから、多いシステムは好印象でした。

「壁壊し」から「即死トラップ」まで規格外な迷宮攻略

 本作では、用意されたマップを進んでいくだけでなく、壁を破壊して突き進む機能が用意されています。ポイントを消費するため、無制限に突き進むことはできませんが、ショートカットや隠し部屋の探索など使い方は多種多様です。正攻法なんて無視した型にはまらない探索で迷宮を攻略していきます。

 少し高めの戦闘難易度に加えて、中盤からは迷宮の難しさも急上昇。壁壊しは楽をする手段から、進むのに必須の要素となるので、注意深く進まなければなりません。加えて、大量のダメージ床設置や、足を踏み外すと1発で全滅してしまうエリアまで登場するため、戦闘中以外も全く気が抜けません。

 自動マッピングは用意されているものの、手動で書き足すことができない点は残念でした。複雑なワープポイントの組合せや、複数種類の鍵が登場するので、基本的なマッピングだけでは機能が不足していた印象です。構造も複雑なため、ダンジョンRPGに不慣れな人は少し厳しいと感じます。

人数が増えるにつれて気になってくる戦闘や編成時間の長期化

 序盤は数人のパーティーも、中盤以降はアタッカーだけで最大15人まで増えます。加えて、戦闘中に発動するパッシブスキルも多くなるため、戦闘が無駄に長期化してしまう点は気になりました。接戦を繰り広げる長期戦なら良いのですが、戦闘ログが大量に流れて1ターンが長いのは好ましくありません。

 オプションで戦闘速度を変えられるとはいえ、「最速」にしても遅く感じます。さらに2倍速くらい欲しいと感じました。用意されている枠を最大限に活用してパーティーを作りたいところですが、戦闘効率を重視して少人数で編成する場面もあり、戦闘とは直接関係のない部分で悩ましかったです。

 他にも、キャラクターが増えるにつれて編成画面の機能不足が気になったので、ゲームスピードの改善と併せて、今後のアップデートに期待したい部分でした。

さいごに

 40時間弱のプレイを経てレビュー記事を書きましたが、クリア後も隠しダンジョンが用意されており、地下迷宮の終わりは全く見えません。たどり着いたからには攻略するしかないと思わせるだけの魅力があるため、私の地下迷宮攻略は、記事を書き終えてもまだまだ続きます。

 高めの難易度や複雑なダンジョン構成、不快感を抱いてしまうほどダークなストーリーなど、遊ぶハードルは高いですが、乗り越えた先には相応の達成感が用意されています。ダンジョンRPGが好きな人や、普通とは違った物語を楽しみたい方には是非遊んでほしいと思う作品です。