【レイギガント | Vita】評価・レビュー 期待外れの未熟なRPG

総評
3人の主人公によるオムニバスストーリーに多彩なバトルシステムと期待していたものの、どれも完成度の低い内容で、褒められる部分が見当たらない作品でした。
良かったところ
悪かったところ
キャラクター数に対して短いストーリー
バランス調整のされていない退屈な難易度
1
C-
ジャンル RPG
ハード PlayStation Vita
発売日 2015年7月30日
発売元 バンダイナムコエンターテインメント
開発元 エクスペリエンス
公式サイト リンク

 販売:バンダイナムコ、開発:エクスペリエンスの新作RPGレイギガント」のレビュー記事です。

 「ギガント」と呼ばれる侵略者が現れた世界で、対抗する「ヨリガミ」の力を持った3人の主人公にスポットを当てた物語。バトルシステムにも様々な要素が用意されており、完全新作として期待していたのですが、どこにも良いところが見当たらない、完全に期待外れの作品でした。

3人の主人公に対してボリュームは1本分未満のストーリー

レイギガント 一弥vsカイル

 本作は、別々の組織に所属する主人公たちが、それぞれのストーリーを進めていくオムニバス形式になっています。各篇ごとにパーティーメンバーも一新。ポジションが前衛・中衛・後衛と分かれており、最終的には主人公だけでパーティーを組んで戦うのはお約束です。

 そういった物語から、3倍とは言わないまでも長大な内容になると予想していたのですが、全部併せてもRPGとしては短いボリュームでした。それを3人で割るため、キャラクターの掘り下げは3分の1。明らかに描写の足りない展開も存在して、新作なのにダイジェスト版のような進行でした。3人そろってからが本番と楽しみにしていたら、その時点で終盤となっており、特に盛り上がることもなかったです。

戦闘バランスは未調整? 終始イージー難易度のバトルシステム

レイギガント 一弥 ソロ戦闘

 前衛・中衛・後衛がそれぞれの距離で戦う「3way戦闘」 行動によって体重が増減してステータスに影響する「体重システム」 戦闘が長引くと行動するたびにHPが減る「強制寄生」 強化・スキル取得・装備入手を管理する「エボルブツリー」など、目新しいシステムを数多く取りそろえている本作ですが、難易度が低すぎて全てが形骸化していました。

 3人パーティーで行動コストを共有。育成に必要なポイントも共有という仕様から、1キャラクターを集中して育てるとゲームバランスが崩壊します。何も考えずにコマンドをリピートするだけで敵を瞬殺です。序盤しか通用しないかと疑いながら育成していたら、終盤どころかラスボスですら1人で倒せてしまう辺り、調整を試みた形跡が見当たりません。

なぜか音ゲーが始まるスラッシュビートモード

レイギガント スラッシュビートモード

 SPを消費することで発動する主人公たちの必殺技。発動すると専用ムービーが流れた後に、音ゲーが始まる突っ込みどころ満載のシステムです。ちなみにストーリーでは音楽に絡んだ設定など存在しないため、どうして音ゲー形式なのかは本作における最大の謎となっています。

 専用ムービーはスキップ不可。音ゲー自体もつまらないのですが、威力だけは絶大です。前述したように1人に育成を集中すると、開幕にスラッシュビートモードを発動すればボスキャラすら1ターンキルできます。雑魚は先制攻撃で瞬殺、ボスは音ゲーで瞬殺です。

ギミックだけの退屈な3Dダンジョン攻略

レイギガント ダンジョンマップ

 戦闘面で難易度が低いと重ね重ね書いてきましたが、ダンジョン自体の難易度もかなり低いです。動かないシンボルエンカウントと成功率100%の逃走コマンド。敵の先制攻撃が存在しないので事故死もありません。ボタン1つで自由にダンジョンから脱出もできるため、普通にプレイしていれば戦闘で全滅する方が難しいほどでした。

 キャラクターの育成はダンジョン内のアイテムに大きく依存しているので、隅々まで探索・収集しなければなりません。各ダンジョンには様々なギミックが用意されており、それらの方が難敵です。隠し扉、強制移動、回転床、落とし穴、ワープ、開閉スイッチ、謎解きまで多種多様。しかし、リスクが無い状況では単調で作業的な感触が強かったです。

クリア後・やり込み要素無しの手軽なトロフィーコンプリート

レイギガント プラチナトロフィー

 クリアした時点でコンテンツが尽きるため、完全にゲームは終了となります。1人を強化して遊んでいた場合、ラスボス撃破と同時にプラチナトロフィーを取得できるほどです。プレイ時間が短く、取得困難な物も存在しないため、トロフィー収集目当てとしては手軽な作品でした。

さいごに:「面白そう」という雰囲気だけの作品

 レビューを書く際、コンセプトを考慮しながら、なるべく良いところにスポットを当てるよう心がけていますが、本作には褒めるほどの要素が1つもありません。強いて言うなら、主人公ごとに作られた3つのオープニングムービーが期待をあおるクオリティだったことです。それに対して本編の完成度は余りにも未熟で、更に期待外れを感じる作品でした。