【プリンセスは金の亡者 | Vita】評価・レビュー 金が金を生むアクションRPG

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総評
お金の力でゲームの規格外を連発するアクションRPG。コンセプトはとても面白く、ひと味違ったアクションを楽しむことができます。しかし、操作性を筆頭に、秀逸なコンセプトをうまく面白さにまで昇華し切れていない印象を持つ作品でした。
良かったところ
お金で全てを解決するユニークなコンセプト
悪かったところ
同時操作が多く煩雑に感じる操作性
お金で解決できない煩わしい素材集め
価格設定に対して少ないボリューム
3
B
ジャンル 金の力で全てを解決するアクションRPG
ハード PlayStation Vita
発売日 2016年11月24日
発売元 日本一ソフトウェア
開発元 日本一ソフトウェア
公式サイト リンク
プレイ時間 ストーリークリアまで10時間

 金の力で全てを解決するアクションRPGプリンセスは金の亡者」のレビュー記事です。

 敵の買収からゲームオーバー回避まで、お金の力でアクションゲームの規格外を連発する本作。全てはお金から始まり、お金につながるコンセプトは面白く、ひと味違ったアクションを楽しむことができます。しかしながら、明らかに両手だけでは足りない操作性や、素材・資金集めの周回プレイと少ないボリュームなど、秀逸なコンセプトをうまく面白さにまで昇華し切れていない印象を持つ作品でした。

買収から奇跡まで金の力で全てを解決するアクション

 ジャンル名の通り、お金さえあれば大抵のことを解決できるユニークなシステムが満載です。敵や罠の買収は、敵を減らして味方を増やす本作の基本で、大金さえ詰めばボスクラスでも引き込めます。お金をしっかり貯め込んでおけば、ピンチのときに銭奇跡を起こしたり、ゲームオーバーをなかったことにしたりと、お金で解決できないことはありません。そして、お金がなければ何もできません。

 お金を集める手段は、主に敵からのドロップになります。殴る蹴るで落とさせる以外に、BREAK状態になっている敵をタッチパネルでタッチすると、沢山のお金をむしり取ることが可能。買収した敵や罠を使って倒すと、更にボーナスを得られるなど、金が金を生むすばらしいシステムです。

同時操作が多すぎて煩雑に感じてしまう操作性

 左手で移動、右手で攻撃などのアクションに加えて、BREAK状態のタッチや電卓を起動してからの金額入力と買収など、とにかく同時に行うことが多いです。操作に慣れてもスムーズに遊ぶのは難しく、手がもう1つ欲しいと感じました。表示位置を移動できるとは言え、電卓を起動中は画面の半分近くが隠れてしまう点も、遊びにくさを一層と際立たせます。

 プリンセス以外に、プレイアブルキャラクターとしてゾンビのお姉さんも登場。こちらは銭奇跡が使えない代わりに、電卓無しで買収できるなど、シンプルな操作となっています。性能を比べると一長一短ですが、総合的に見ると圧倒的にお姉さんが遊びやすく、中盤以降はプリンセスを使うことがほとんどなかったです。せっかくのシステムを放棄してでも、遊びやすさに逃げてしまう操作性でした。

お金で解決できないことが煩わしい素材集め

 大半のことがお金で解決できるアクションですが、お金で解決できない点も存在します。78種類存在する武器や、プリンセスたちを強化する銭神の像を作成するには、お金以外に素材(買収した敵や罠)が必要です。これらは該当する素材が登場するステージに行って、買収してこなければなりません。

 幸いにも、ステージごとに出現する素材が表示されているため、どこで買収できるか迷うことはないものの、種類が多いので、1つの武器を作るにも時間が掛かってしまいます。加えて、武器や銭神の像を作成時にも高額の費用が発生するため、平行して資金を集める必要があります。

 操作性を除いても、ゲーム自体の難易度は少し高いため、しっかりと強化しておかなければ苦戦は避けられません。必然的に、素材や資金集めでクリア済みのステージを再プレイする頻度も多くなります。お金で全てを解決できると言うのなら、多少割高でも素材をお金で購入するシステムなどが用意されていれば、お金稼ぎだけに集中できて、もっと効率良く楽しめたのではないかと残念に感じます。

お金が全てを支配する資本主義コミカルストーリー

 お金しか信じないプリンセスと、ゾンビやクワガタといったユニークな仲間たちがおくるコミカルなストーリーです。キャラクターボイスは用意されていないものの、所々で差しこまれる大塚 芳忠さんのナレーションが際立ちます。復讐の旅と言う割には全体的に緊張感がなく、楽しみやすい反面、エセ関西弁や登場キャラクターの少なさなど、好みが分かれそうな部分も多かったです。

 なお、ストーリークリアまで約10時間でしたが、前述した資金・素材集めのクリア済みステージ周回も含まれているため、6,000円の価格設定は割高に感じてしまうボリュームでした。

さいごに

 斬新なコンセプトは良かったものの、操作性やゲームバランスと言った面で評価を大きく落としていました。ロープライスならともかく、一般的な価格のタイトルにしては納得の行くボリュームやクオリティでなかったことも目に付きます。本作が気になっている方は、少し待って価格が安くなってから手を出した方が満足して遊べるだろうと思える作品でした。