【大江戸BlackSmith | Vita】評価・レビュー

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総評
余命1年の鍛冶屋が1人の媛嬢に全てをささげる。そんな独特のコンセプトを中心に展開するシミュレーションRPG。楽しみやすいゲームシステム。見初めた媛嬢によって大きく変化するストーリー。ちょっとエッチな御褒美ミニゲームなど、様々な要素がバランス良く整えられた作品となっていました。
良かったところ
探索・採掘・戦闘を行うダンジョン探索要素
大きく変化するメリハリのついたゲーム構成
悪かったところ
5
A+
ジャンル 女と金のシミュレーション
ハード PlayStation Vita
発売日 2014年11月27日
発売元 日本一ソフトウェア
開発元 日本一ソフトウェア
公式サイト リンク

 女と金のシミュレーション大江戸BlackSmith」のレビュー記事です。

余命1年の鍛冶屋が1人の媛嬢に全てをささげる。そんな独特のコンセプトを中心に展開するシミュレーションRPG。プレイ開始から媛嬢全員のエンディングを見るまでの3周回。仕事や睡眠時間を除いて、ほぼノンストップで遊び続けた楽しみやすいゲームシステム。見初めた媛嬢によって大きく変化するストーリー。ちょっとエッチな御褒美ミニゲームなど、様々な要素がバランス良く整えられた作品となっていました。

慣れるほどに余命を効率良く堪能できるゲームシステム

ゲームメニュー画面

 1日1ターンの行動選択型シミュレーションで、1年365ターン以内に媛嬢とのエンディングを目指します。街の探索や依頼の達成、鍛冶でアイテムを作成して販売など、選べる行動は豊富です。無駄な行動はほとんどなく、どれも最終的にはお金や媛嬢につながる物ばかり。残された余命をプレイヤーは奔走することになります。

 行動するたびに余命が減ることに序盤は焦りを感じますが、短いようで長い1年。かなり余裕を持って作られているので、時間に追われる印象はすぐに払拭されました。慣れてくると懐も温かくなって媛嬢と逢瀬を重ねるペースも加速。お金が湯水のように使われていくのに比例して、ストーリーが進んでいく上手い仕組みです。

用心棒の女の子を雇って探索・採掘・戦闘を行うダンジョン探索要素

用心棒 ませ ステータス

 鍛冶の素材は自分で用意する本作。ダンジョンでは行動するたびに士気(ライフ)消費や時間経過が発生するため、士気管理や日付をまたがないように注意しなければならず、常に”少し難しい”絶妙な難易度でした。最深部に待ち構えるボスを倒すと新しいダンジョンが出現して、更に良い素材を求めて探索を繰り返して行きます。

 採掘ポイントは固定されており、採れる素材のテーブルも決まっています。素材の種類は数え切れないほど多く、トラップも存在するので、マッピング機能が欲しかったです、特に、低確率で採れるレア素材はポイントが合っていても採れないことがあり、どこで採れるのかメモし忘れると、探して迷うことが多々ありました。

3人の媛嬢から1人を選んで残された余命をささげるストーリー

朝香 イベントシーン モテない男だってオカネ次第

 性格や容姿、抱えている事情が違う3人の媛嬢が登場。自由に会えるのは最初の1か月だけで、それ以降は心に決めた1人と逢瀬を重ねることになります。会うたびに必要な金額が増えていき、別れ際には10日以内に会いに来る約束を行うため、全ては媛嬢とお金を中心にゲームが回ります。正に、女と金のシミュレーション。

 お試しの1か月から媛嬢選びの流れは一世一代の選択となるため、最初に選んだ媛嬢はプレイヤーの好みが強く浮き彫りになります。どの娘も魅力的ですが、自分は1周目に朝香ちゃんを選びました。お金に対する執着とプロの愛想笑いで、最も媛嬢らしくて愛らしかったです。守銭奴だけど純真な朝香ちゃんかわいい!

タッチパネルを活用した「嬢郭あそび」のお戯れ感がすごい

夕霧 城郭あそび 後ノ戯

 お触りすることで気分を盛り上げていき、服をこすることで透けていく御褒美要素。衣装の構造上、透けても露出度は低いので、スクリーンショットで切り取っても魅力は控えめ。構図によっては、お触り途中のはだけている状態の方が、ちらりズム的な意味で艶めかしいと感じるほどでした。

 しかし、このミニゲームの魅力はボイスや絵の動きから得られる”じゃれあう”体験にあります。もちろん、最終的な絵も十分に御褒美ですが、それまでの過程に興奮してしまうミニゲームです。単純な露出度だけが御褒美ではないということを教えてくれた作品でした。公式サイトでは無料体験も可能です。

前半と後半で大きく変化するメリハリのついたゲーム構成

最終試練

 約束と懐具合の板挟みに生きる前半と、全ての余命を賭けて試練に挑む後半。ほとんど別ゲームと言っても過言ではない変わりようですが、3人の媛嬢で3本分のストーリーが存在するため、これくらい大胆な構成の方が楽しみやすかった。あくまで365日は余命であり、うまくプレイすれば早くクリアできる作りも好感触。

 複数のエンディングが存在する中、ハッピーエンドに到達する条件がアッサリしている点は気になりました。1周目では、条件を達成していることに気付かなかったほどです。華やかな題材なのにストーリーは堅実で地味だったので、もう少し凝った条件や、派手な展開が用意されていた方が好みでした。

1度切りの人生に引継ぎ要素がないのはコンセプト的に正しい

恋に生き、殉じた男の物語

 選んだ媛嬢よってストーリーが違うとはいえ、ダンジョン探索やお金稼ぎは同じなので、引継ぎ要素がないのはEDコンプリートにおいてハードルを高めていました。しかし、冷静に考えてみると「余命1年の鍛冶屋が1人の媛嬢に全てをささげる話」なので、ゲームとしてはほしかったが、コンセプト的にはなくて正解だと思う。

 データ的な引継ぎがなくても、慣れれば効率がどんどんあがるゲームシステム上、1周目とは比較にならないほど円滑にプレイもできる。武器強化などプレイヤースキル依存の要素は序盤からサクサク使えることもあって、実際に遊んでみると、引継ぎ要素がなくても3周回することは全く苦に感じられませんでした。

さいごに

 プレイ前は『とりあえず1人クリアしたらレビューを書こう』と考えていたのですが、思った以上に熱中してしまい、全員をクリアするまで執筆の時間も惜しんで遊んでしまいました。やり込みやクリア後要素がない代わりに、スッキリとやり遂げた達成感を得られて、気持ちよくレビュー記事を書けています。

 コンセプトが独特で、好みの分かれそうな作品ですが、公式サイトやプロモーションムービーから感じられる魅力以上の面白さを持っています。もし情報をチェックして直感的にピンと来たならば、思い切って嬢郭に足を踏み入れる事をおすすめしたいです。