【ロストディメンション】評価・レビュー

総評
コンセプトやゲームシステムに光る物はありましたが、盛り上がりに欠けるストーリーが台無しにしていた作品です。
良かったところ
RPG+人狼系ゲーム
アシスト攻撃を活用する、戦略性に富んだ戦闘
悪かったところ
オートセーブ+ロードで遅めのテンポ
盛り上がらないまま終わるストーリー
3
B
ジャンル RPG
ハード PlayStation3
PlayStation Vita
発売日 2014年8月7日
発売元 フリュー
開発元 ランカース
公式サイト リンク

 RPGとしては凡作だが、人狼系ゲーム付きという特徴を併せれば個性は出ていた作品ロストディメンション」 スキルポイント制の超能力強化や、消去した仲間の能力を取り込んで1人で協力技を発動させることが出来るなど、魅力的な要素も豊富です。

しかし、肝心のストーリーが陳腐で盛り上がりも乏しく、常に安っぽい雰囲気が付きまとう作品でした。

オートセーブ+ローディングで遅めのゲームテンポ

 仲間を消去して進むコンセプト。やり直しの効かないプレイにするため、戦闘出撃や選択の毎にオートセーブが発生します。セーブ後にローディングとなるため、どうしても待ち時間が長くなりがち。UIも解りにくい部分が多く、操作も全体的にもっさりしているので、ベース部分の評価は低い。

アシスト攻撃を上手く活用する、戦略性に富んだ戦闘

 攻撃した敵を射程内に捕らえる仲間が居れば、アシストで援護攻撃確定。これが本作の戦闘における最大のポイントでした。とにかくアシストを意識することが攻略のカギです。同じように敵もアシストを使ってくるので、位置取りに気をつけなければ、味方も瞬殺されてしまうくらい重要な要素になっていました。

 仕様上、近接キャラに比べてアシストしやすい遠距離キャラの有用性が高い。ほぼ確実に反撃を受ける近接キャラは、敵に近づいて遠距離キャラに行動順を渡すのがセオリーと不遇なシステムです。同じように超能力もキャラによって使い勝手が大きく変わるため、キャラ性能の差が顕著に表れているゲームでした。

戦闘と平行して行われる裏切り者の特定

 出撃メンバーに怪しい人物が居るかを主人公の能力で見極め、メンバーを入れ替えながら戦闘を繰り返す事で裏切り者を捜索。裏切り者じゃ無くても怪しい行動を行うメンバーが最低2人は居るため、上手く組み合わせを変えて特定する必要があります。ただし、戦闘出撃回数に制限は無いので、特定自体は難しくありません。

 ジャッジでは消去するメンバーを投票で決定。事前に投票内容を予知・操作できるので、ジャッジ自体は出来レースです。裏切り者特定を優先した戦闘メンバー。気に入ったキャラでも裏切り者なら消去しなければならないなど、ゲーム側に仲間を強制される事が多いため、RPGとしては自由度に乏しい。

独り言ばかりで繋がらないキャラクター同士の会話

 裏切り者がランダムで決まるシステムの弊害でした。主人公とラスボス以外はプレイする度にメンバーが入れ替わるため、基本的に当たり障りの無い発言しか行いません。それっぽい独り言を順番に行う感じです。裏切り者を特定・消去しても、主人公以外はテンプレ発言を繰り返すだけというのは会話として寂しかった。

 最後のジャッジが終わると同時に、仲間を疑う事も止めてしまう主人公。もちろん裏切り者が残っていた場合は裏切られます。真エンディングに辿り着くための周回要素では、同じキャラが2周連続で裏切ると、裏切り者だと解っていてもフラグ回収のために消去は出来ないなど、システムとストーリーが噛み合っていない部分が多々有りました。

何も盛り上がらないまま、都合良く終わってしまうストーリー

 アッと驚くような真相や、盛り上がる展開も無いまま終了。全体的に腑に落ちない事ばかりのストーリーでした。最後の結末は『凄いパワーで全部解決しました!』としか説明出来ません。未完結でも、あからさまな手抜きでも無いのに、ここまで中身の無いストーリーというのも珍しい。

さいごに

 独り言の会話などは仕方が無い。しかし、システムとストーリーが噛み合って居ない点や、盛り上がらないストーリーはもう少し頑張って欲しかった。テンポの悪さを許容できるだけの魅力は備えていたので、もっと面白く作り込まれていれば、好評価になる可能性も充分に秘めていた作品でした。